115 目覚める母性 ページ22
マサドラでぶらぶら散歩していると、ビスケがムキムキマッチョたちの写真集を見つけて大はしゃぎで購入した。今も修行する傍らで「久しぶりのご馳走だわさ〜」とか何とか、しあわせそうにページをめくっている。暇なのでビスケの肩ごしに覗いてみることにした。どれどれ……おおう。刺激がつよい。
「Aは骨と皮しかないような男が好み?」
「ううん、最近は筋肉質な男性が好きだよ」
「あらイケる口ね。じゃあたまらないでしょ、この腹筋とか」
「ああ……そうだね」
ビスケはわたしの反応がお気に召さなかったのか、くちびるを尖らせた。いっけね。選択肢を間違えたらしい。ギャルゲーのプロがここにいたら地面を叩いているところだろう。どうやらこの師匠、女の子同士でイケメンを話題に盛り上がりたかったらしい。わたしは冷や汗をかきながらどうにかこうにか誤魔化そうとする。
「この右端のひと、かっこいいね。銀髪ならもっといいんだけど」
「アンタはキルアを主語に含まないと喋れないわけ?……ちょっと、なに盗み聞きしてんのよ!発が乱れてるわよ!」
「その隣はゴツすぎるしなぁ」
「やっぱりガキにはまだ早いようね」
「聞き捨てならないぞ。キルアの腹筋はこのひとよりバキバキだし、上腕二頭筋なんて……」
「わかったわかった」
ビスケはぷっと吹き出した。あ、また、その眼差しをしている。ビスケは普段わたしの最高の友人を名乗るけど、ときおり母親のような目で見てくる。それはゴンとキルアに対しても一緒。とくにビスケはキルアが幼少時代の話をすると顔を暗くした。やさしいひとだ。
ビスケは大切なものなんて要らないと言っていたけど、わたしたちとの記憶を両手で抱き寄せている。まるで親鳥が雛を温めるみたいに、大切に。きっとビスケはこれから苦しむことになるだろう。わたしたちが深く傷つくたびに、わたしたち以上に苦しむことになる。そのことが、ビスケ本人には絶対に言わないし言えないけど、そんな風にわたしたちを愛してくれてるのが、たまらなく嬉しいよ。
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ちーちゃん - わざわざお返事ありがとうございます!完結まで楽しみにしています! (2021年11月14日 17時) (レス) @page49 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - ちーちゃんさん» ちーちゃん、コメントありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!次章もよろしくお願いします! (2021年11月14日 16時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - 更新嬉しいです!また頑張ってください! (2021年11月10日 15時) (レス) @page9 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - yuriori12911さん» コメントありがとうございます。いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。ご連絡ありがとうございました。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。早とちりして申し訳ありませんでした。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年7月16日 18時