能ある鷹でいたい ページ38
夜が来た。ここからは妖の絶好の活動時間となる。人間よりもやつらのほうが圧倒的に有利なのだ。わたしと百鬼丸は刀に手を置いて感覚を研ぎ澄ませる。どれくらい時間が経ったのだろう。ふたつの陣の境界線に、ぼうっと青白い炎のような狐が現れた。百鬼丸が斬った後の炎の揺らぎは五感が拒否したくなる色をしていた。ああやっぱり。今回はわたしも本気でやらなきゃまずい。体力を温存していたらやられる。死にたくないから死ぬ気でやる。走る。斬る。それだけに専念する。
「うわっ！Aの姉ちゃん、強え！」
わたしが「手伝い」をやめて、自分から化物を切って回るのを初めて見るどろろは、助六と一緒に口を開いていた。ビックリしているようだけど、わたしと百鬼丸に剣を教えた人は同じなんだから、そんなに驚くことないでしょ。どろろが石をぶん投げているのを横目に、抜け出そうとする助六を見つけて止める。助六にもどろろにも、無駄な労力を割かせたくないから。
「馬鹿な真似はやめて。見つかったらどうなるかわかるでしょ？」
「でも……それでも、俺は……あーっ！！！！アニキのふんどしがチラッとした！」
「まじか、どこどこ」
わたしが百鬼丸のフンチラをおがむために首を回している間にで森の中に隠れてしまった。なかなかやるな、助六。
「何してんだ！！ばか姉！！」
「クソ！かなりのやり手だった！」
「やり手でも何でもねーよ！あんな手に引っかかるの姉ちゃんしかいねーよ！」
「自分のケツは自分で拭くね！助六を連れ戻してくる！！」
朝倉の陣に入り込んだ。まだ間に合うかもしれない。助六を探してやみくもに走っていたら、足元がどうなっているか気づけなかった。
「う、わっ！」
足をとられて、身体は宙に浮いた。背中をどかんと地面にぶつけて血の味がした。ごろごろと傾斜をすべっていって、ぽーんと投げ出される。頭だけを守って、身体中を打ちつけた。ぼんやりする。全身が痛みで燃えているみたいだ。わたしは刀を握ったまま意識を手離した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有希(プロフ) - わかります！どろろのキャラデザすごくいいですよね。ツボです。主に百鬼丸の顔が。好きだなんて…！嬉しいお言葉ありがとうございます。励みになります。続編移行するので、そっちも読んでいただけたら喜びまくります。コメント嬉しいです。 (2019年4月7日 11時) (
レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - 最近、どろろにはまってすごい絵とか好きです。こちらの作品も好きになりました。百鬼丸の心に惚れた。は、かっこいいですね。更新待ってます。(o^∀^o) (2019年4月7日 9時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - あわてて目がつくところは修正しましたが、まだ残っているかもしれません。と言うより、残っていると思います。できればどなたか、そっと教えてください。 (2019年4月2日 21時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 嬉しいコメントありがとうございます！励みになります。間違いに気がついて今悶えております。急いで編集します。またコメントくださると嬉しいです。お気づきの通り、夢主は百鬼丸のこととなるとちょっとヤバめな子です。これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 21時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
Sinn - いつも楽しく見ています！夢主の百鬼丸愛がもうっ…！(笑) あと、ずっと気になってたのですが、義足技師の先生の漢字が玄海ではなく寿海です。ずっと気になってて…すみません。更新頑張ってください！ (2019年4月2日 21時) (レス) id: de0e7e661c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有希
| 作成日時：2019年3月30日 17時
