恋は綺麗なエゴの塊 ページ15
「わたしのこと、好きって言ってよ……！！」
まだ声を取り戻せていない彼になんて酷いことを言うんだろうと我ながら悲しくなった。お願いだからわたしのことを好きになって。わたしはきみが好きだから。
百鬼丸のくちびるを自分のそれで塞ぐ。もうどうにでもなれ、とむさぼるみたいに食む。ときおり目をあけると視線がぶつかった。百鬼丸はわたしのことを憎からず想っている。その幻想がこんなにもしあわせで、ずっと浸っていたい。白い背中を掻きむしるみたいにして抱きしめる。その心も身体もわたしのものにしたい。これじゃ鬼神だ。どうしようもない欲望が頭をもたげてくる。
百鬼丸の造りものの指がするするとわたしの髪の間を滑って、ぼろぼろと涙がこぼれた。自分が嬉しいのか悲しいのか、何のために泣いているのか、もうわからなくなる。胸が痛い。でもいやな痛みじゃない。
*
「わたしって鬼神だったのかもしれない……」
「姉ちゃんみたいにやさしい鬼神がいてたまるか」
「やさしくなんか、ないよ」
これは本当のことだった。わたしはやさしい人間じゃない。そう見せかけるのが上手いだけだ。生まれ持ってないから人工的に表面にまぶしただけ。
「はあ？どうしたんだよ、さっきっから。ひとりだけ遠く歩いてさ。いつもはアニキの手を握りながら歩いてるくせに」
「……心境の変化、みたいな」
「変な姉ちゃん……姉ちゃんが変なのはいつものことだけど」ってどろろは失礼なことを言いながら、万代の待つ村へとわたしたちを連れて行く。わたしはもう、百鬼丸の近くにいるのが許されない気がした。どろろがいい。どろろみたいな人間こそが百鬼丸の隣を歩くべきなのだ。そんなわかりきっていたことをどうして忘れていたんだろう。何でもいいから百鬼丸がほしいと思う鬼神のような女は、こうしてちょっと遠くを歩いてたほうがいい。
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有希(プロフ) - わかります！どろろのキャラデザすごくいいですよね。ツボです。主に百鬼丸の顔が。好きだなんて…！嬉しいお言葉ありがとうございます。励みになります。続編移行するので、そっちも読んでいただけたら喜びまくります。コメント嬉しいです。 (2019年4月7日 11時) (
レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - 最近、どろろにはまってすごい絵とか好きです。こちらの作品も好きになりました。百鬼丸の心に惚れた。は、かっこいいですね。更新待ってます。(o^∀^o) (2019年4月7日 9時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - あわてて目がつくところは修正しましたが、まだ残っているかもしれません。と言うより、残っていると思います。できればどなたか、そっと教えてください。 (2019年4月2日 21時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 嬉しいコメントありがとうございます！励みになります。間違いに気がついて今悶えております。急いで編集します。またコメントくださると嬉しいです。お気づきの通り、夢主は百鬼丸のこととなるとちょっとヤバめな子です。これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 21時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
Sinn - いつも楽しく見ています！夢主の百鬼丸愛がもうっ…！(笑) あと、ずっと気になってたのですが、義足技師の先生の漢字が玄海ではなく寿海です。ずっと気になってて…すみません。更新頑張ってください！ (2019年4月2日 21時) (レス) id: de0e7e661c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2019年3月30日 17時
