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パイセン《44》 ページ44

「とりあえず、ここ。」


「あっ、はい・・。」




着いたのは食堂。


この時間誰もいないな。



「・・。」


「・・あの、」


「ん?」


「なんで、こんなところに・・?」


「なんとなく。
 なんか、あのままお前が光と帰っちゃってたら・・一生話せなくなるような気して。」


「一生、?
 なわけないじゃないですか(笑)」


「分かんねーけどさ。」


「なんですかそれ、(笑)」


「で、さっきの続き・・聞きたいんだけど。」


「さっきの・・と言いますと、?」


「"オレ、宏太先輩のことが"・・の、続き。」


「あー、あれはそのぉ・・なんでもないんです。忘れてください、(笑)」


「忘れられるわけない。
 ・・聞きたいんだ。」




そんな真剣な目で見つめないでほしい。


今ここで本当のことを言ってしまったら
オレは光先輩を裏切ることになるんだから。




「あ、あの・・ほんっとに、なんでもないんです。」


「ほんとに?」


「はい。」


「・・そっか。
 ここまで連れてきて時間の無駄だった。」




宏太先輩はイスから立ち上がり
そのままスタスタと行ってしまった。



なんか・・申し訳ない、


でも、あのまま本音を言ってたら・・。



思わず視界がぼやけそうになった。


それでも必死に我慢して、唇を噛んだ。




「慧くん。」


「あ、光先輩・・。」


「今ね、薮に会ったんだ。
 慧を食堂に置いてきたから迎えに行ってやれって。」


「そうなんですか、」


「慧くん。本音は言ったの?」


「ほ、ほんね・・?」


「そう、本音。
 自分の気持ち、伝えた?」


「・・。」


「そろそろ素直になりなよ。
 慧くんも薮に負けじと、意地っ張りだなぁ。
 もしかして、オレに遠慮とかしてる?」


「・・。」




オレは黙ることしかできなかった。

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作者名:ろんろん | 作成日時:2017年4月23日 2時

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