第6話 ページ9
「おーい、ちょっと集まれ」
クロが一言かけただけでみんなはそれぞれの練習を中断して集まる
その間なぜか月島 Aは俺の後ろに隠れていた
「ねぇ、なんで俺の後ろにいるの？」
皆をじーと睨みつけているので声をかけてみると、今度はぱちっと目を開けて俺を見た
「…な、なに？」
そのまま何も喋らず見つめられるので、俺は思わず目をそらす
「ふは、やっぱり」
急に月島が笑う
「…本当になに？」
俺は不満に思い聞くと、彼女は俺の前に立つ
「私の弟に似てるの、君が」
そして言うとまたにこっと効果音がつきそうな笑顔で笑った
ここに来て初めて見た月島の笑顔に驚いていると夜久さんが俺の背中をぽんと叩く
「ほら、研磨も並べ」
「え？あ、はい、すいません」
気づくとみんな整列していた
俺も彼女から離れ慌てて指定の場所に並ぶと夜久さんが一人一人自己紹介をするようにと言った
「1年1組 灰羽 リエーフです！
よろしくお願いします！」
1番目にリエーフが大声で自己紹介をすると、みんなもそれにならい、学年組、名前を言って行く
それがやっと、三年を残して最後の俺の番になる
「2年3組 孤爪 研磨」
短くまとめた
そしてなんとなく月島を見ると今度は驚きに目を見開いていた
「…なに？」
目が合ってしまったので聞いてみると、ハッと我に帰ったような動作をし、
「ごめんなさい！」
と頭を下げた
「え？は？いや、ちょっと、どうしたの？？」
俺がやらせてるみたいじゃん…
慌てて月島の近くに行くと、今度はガッと両腕を掴まれた
「！？」
訳のわからぬまま助けを求めるため夜久さんの方を見ると、隣でクロが爆笑しているのが見えた
それに軽い怒りを覚えもう一度月島に目をやるとまたぱちっと目があった
「…どうしたの？」
今度は落ち着いて聞いてみると月島はやっと顔を上げた
「あ、私、貴方のこと一年生だと思ってました…」
そう、気まずそうに目を泳がせて言った彼女に不覚にも
「ははっ、なに？それだけ？」
笑っていた
「おー！研磨さんが笑ってる！」
「本当だ、珍しい」
それにいちいち外野が反応してくるのでいつもの顔に、少しムッとして戻る
「てか、月島って1年なの？」
いや、聞かなくてもわかることなのだが、なんとなくこの状況が気まずい
「あぁ、そうだ、月島も自己紹介頼む」
笑い続けるクロに言われ月島は俺を盾にするように姿勢を正した
「月島 A、1年…出来れば、マネージャーやりたいです」
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作者名：猫乃 | 作成日時：2017年10月22日 2時
