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脳裏に過る、何故、どうして、という言葉。何故、誰が、なんのために、頭の中に浮かんでは消える疑問は、尽きることを知らない。
「逃げよう。警察に出頭しよう」
次の瞬間、清丸はが言ったのは、そんな言葉だった。このままでは、自分は殺されてしまう。此処に籠城していても、何れ誰かに見つかるだろう。いや、もしかしたらあの部屋を貸した男がカネ目当て自分を殺しに来るかもしれない。そう考えての発言だった。
けれど、一方で少女は恐怖していた。清丸の居ない今後を。もう、清丸の洗脳により、清丸に依存しきっていた。もう清丸お兄さん無しでは生きていけない。怖い。怖い。少女は清丸に擦り寄った。
「いやだ、お兄さんが居なくなるなんて嫌だ」
そう少女は、さっきよりも大粒の涙を頬に伝わせながら、繰り返し、繰り返しそう叫んだ。
清丸は、今の危機的な状況も忘れ、そんな少女の様子を、愛らしい、と思っていた。
少女が拒んだので、清丸はその部屋から動けずに居た。ニュースを掛けながら、ちらりと窓の外を覗く。アパートの裏手にある工場は、何時もと変わらず、ただ煙突から煙を吐き続けている。清丸はそれを眺めながら、今後、どうするべきかかを考えていた。
その時だった。玄関から、ノック音が響いた。清丸は、少女の手を引いて、タンスの陰に隠れた。暫しノック音が続き、「俺だよ」という、聞き慣れた言葉が聞こえる。その瞬間、少し張り詰めていた空気が緩む。
清丸は、玄関へ向かうと、そのドアをゆっくりと開く。其処には、あの時、清丸と少女に部屋を貸した、あの男が居た。男はよお、と清丸に軽く挨拶すると、にやりと笑みを浮かべ、自らが持っていたビニール袋を清丸に手渡した。
「ニュース見たぞ。大変だなぁ、お前も。あ、それは寿司だ。其処の娘と一緒に食え」
軽く男に礼を言い、清丸はそのビニール袋をテーブルに置いた。背後から、男の声がする。
「気をつけろよ? 世の中、俺みたいに優しい人なんてそう居ないんだから」
次の瞬間、少女の「危ない」という声が、清丸の耳に入った。
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煉獄少女(プロフ) - 匿名さん» すいません外し忘れてました。お手数をおかけしました。 (2017年7月31日 22時) (
レス) id: 4523b23060 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - オリジナルフラグ、外してください。違反の対象となります。 (2017年7月31日 20時) (レス) id: 657e948106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪椿 | 作成日時：2017年7月23日 14時
