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帰り道、晃兄さんは私と暫く話していた。
「なんでこんなことしたんだ?」とか「ごめんな、ストレス溜まってたんだよな」とか。本人的には気を使ってくれているんだろう。
「別に、そんなんじゃないよ……」
私がそう言って肩を竦めると、私は何かにぶつかった。
「す、すいません――」
私が慌てて前を向くと、其処には、今朝私の定期を拾ってくれた男の人が居た。
「や、一ノ瀬くんじゃないか!」
晃兄さんが嬉しそうにそう言う。
目の前の彼は私に軽く頭を下げると、晃兄さんと話し始めた。
「久しぶりだね」とか「元気にしてた?」とか晃兄さんは嬉しそうに聞く。彼は殆ど何も言っていない。
「ところで、そっちのお嬢さんは? 随分年が離れてるけれど、晃さんの娘さんですか?」
彼にそう聞かれ、私はドキリとした。得体の知れない人に話題を振られた。
「いやいや、僕の妹だって〜 可愛いだろ?」
晃兄さんはそう言い渡しの頭をくしゃくしゃと撫でる。
彼は一度、ニヤリと笑う。
「晃さんの会社の経営コンサルタントを任されてます。一ノ瀬浩一です」
「よろしくね」
彼はそう言うと、私の方へ右手を差し出す。
私はその右手をそっと握り、握手をした。
「じゃあ、行こうか、久」
晃兄さんがそういうのと同時に、私は駆け出す。
彼は手を降っていたが、私は彼に向けて小さな声で「貴男、嫌い」と呟いた。
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雪椿(プロフ) - もんぶらん翔。さん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月19日 20時) (レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
もんぶらん翔。 - 嘘の戦争大好きなので嬉しいです!更新頑張って下さい! (2017年3月19日 1時) (レス) id: 015d801c6f (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月10日 21時) (レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが気になります^_^ (2017年3月5日 21時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪椿 | 作成日時:2017年2月26日 21時