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帰り道。晃兄さんは、ずっと、俯いていた。
そして、ずっと、小さな声で、「俺のせいだ」と呟いていた。
私がどんなに励ましても、晃兄さんは顔を上げず、下を見ていたまま、日が流れる。
そして、父さんの退院の日となった。
隆兄さんは、病室で父さんに、晃兄さん、私、楓姉さんが、すべて知ってしまったということを告白した。父さんも隆兄さんもやりきれない顔をして、こっちをミツメていた。
「お父さんのせいだよね。憎まれて当たり前だよ」
楓姉さんは小さな声で父さんに向けてそういった。違うよ。違う。悪いのは父さんじゃない。
私は、この状態に耐えられそうになかった。
泣いちゃダメだ。そう私が泣きそうなのを堪えていると、晃兄さんが、「俺のせいだ」と言いながら、土下座をしている。
「ごめん、ごめんな、久、楓」
晃兄さんはそう泣き喚きながら謝った。
私は泣きそうだった。どうして。どうしてこうなってしまったんだろう。
「私は許せない」
楓姉さんはそう言って病室を出ていってしまった。
泣く晃兄さん、ぐっと下唇を噛んだ隆兄さん。私は楓姉さんを追いかけようと病室を出て、其処に居た人を見て私は驚愕する。
其処には、一ノ瀬が居た。
「お前、どの面下げてここに……!!」
私が殴りかかろうとすると、一ノ瀬は笑いながら言った。
「甘いんだよ。俺が味わった地獄はこんなもんじゃない」
彼奴、絶対殺す。私はそう決意した。
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雪椿(プロフ) - もんぶらん翔。さん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月19日 20時) (レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
もんぶらん翔。 - 嘘の戦争大好きなので嬉しいです!更新頑張って下さい! (2017年3月19日 1時) (レス) id: 015d801c6f (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月10日 21時) (レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが気になります^_^ (2017年3月5日 21時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪椿 | 作成日時:2017年2月26日 21時