【嘘の戦争】君の瞳だけ無知のままで良い【二科 晃】

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「父さんが、倒れた」
　その知らせを私が知ったのは、ある日の会食の後であった。
　【心臓病の悪化】。私は始めそう思ったが、近くに一ノ瀬が居た、と聞いて、彼奴が犯人だと確信した。
　私が病室に着いたとき、一ノ瀬は隆兄さんに掴みかかられていた。
「や、止めろよ隆! 一ノ瀬さんのお陰で父さんは助かったんだろ!」
　晃兄さんが止にかかる。私が唖然としていると、医者が、「そうですよ」と晃兄さんの言葉を肯定した。
　その言葉を聞いて、隆兄さんは「納得せざるおえない」と解ったんだろう。一ノ瀬を降ろし、「すまない」と軽く謝り、一ノ瀬を降ろした。

　すると、見知らぬ男性が隆兄さんを訪ねてやって来た。
「……六車」
　隆兄さんははっとしたようにそう言った。
「すまないが、楓、晃兄さん、久、出てくれないか」
　その言葉に従い、私たちは外に出る。
　そして、家へ帰った。


◇
　次の日、晃兄さんの工場に、一ノ瀬が訪ねてきた。
　私はその日学校が休みで(というかあの事件以来休まされている)ので、ちょうど工場に居たのである。
「晃さん、工場拡大しませんか?」
　その話を聞いた晃兄さんは、その意見に賛同し、工場拡大のための費用、2000万を隆兄さんに使っていいか聞きに行った。
　その間、私と一ノ瀬は二人きりになってしまった。

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