0 ページ1
◆
私には、物心付いた頃から両親が居なかった。
児童養護施設の職員によると、母親は私を産んだときに死に、父親は母親が死んだショックで精神に異常をきたし、殺人事件を起こし、警察に捕まったらしい。
子供の頃から私は何も知らなかった。友達の作り方も、思いの伝え方も、愛情も。
だから、私は何時も独りぼっちだった。
小学校と中学校の9年間、私はずっと図書室で休み時間を過ごし、一人で学校生活を謳歌していた。
そして、中学2年生の春。私に転機が訪れた。
それは、施設で養子を探している一人の男性だった。
彼は、二科コーポレーションの社長、二科興三だった。私を見ると彼は、職員たちに話を聞き、やがて、私のもとへやって来た。
そして、彼は私に向けてこういった。
「家に来ないかい?」
「はい!」
その質問に対して、私は即答した。大きな声が施設内に響き渡る。
やっちまったなー。と苦笑いをする私に、彼は笑った。
「そうかいそうかい。じゃあ、明日また来るから、今日中に荷物を纏めておくんだよ」
彼はそう言うと、私に手を振り、外へ出ていった。
その晩、私は部屋でスマホを使っていた。本当なら持ち込み禁止何だけれど、どうしても使いたいので職員達に借りた。
「二科コーポレーション……」
私が検索を掛けると、会社の公式ホームページ、Wikipedia、公式Twitter等がズラリと出て来る。私は一度二科コーポレーションのページを閉じて、二科興三と検索ワードを掛け直した。
するとWikipediaには二人の息子と、一人の娘が居ると書いてあった。
私は更に検索を掛ける。
長男、晃、次男、隆、長女、詩織。私は彼等の画像を見て、心が踊った。もうすぐ、この人達がお兄ちゃん、お姉ちゃんになるんだ。私は興奮で、その夜は眠れなかった。
そして、その日がやって来た。
私は少し大きめの鞄に荷物を入れ、特にお世話になった職員たちにお礼を言い、今まで可愛がってた子どもたちにお別れの挨拶をして、彼が迎えに来ていた車に乗った。
車には、運転手さん、私の今現在からのお父さん、二科晃さんの3人が乗っていた。私は、晃さんとお父さんの間に座った。
私は鞄を膝下に置くと、ちらりと晃さんの方を見た。
晃さんは私が居る方とは反対側の壁に寄り掛かり、眠っていた。私は内心、「のんきな人だなぁ」と思って、起こすのを止めた。
やがて、私とお父さん、晃さんは、家に着いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪椿(プロフ) - もんぶらん翔。さん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月19日 20時) (
レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
もんぶらん翔。 - 嘘の戦争大好きなので嬉しいです！更新頑張って下さい！ (2017年3月19日 1時) (レス) id: 015d801c6f (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます! 更新頑張ります (2017年3月10日 21時) (レス) id: fae6e0767b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが気になります^_^ (2017年3月5日 21時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪椿 | 作成日時：2017年2月26日 21時
