ヘリポートでの思い出 (ページ3)

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三井「結構ヤバいわね。」
優輔「じゃあさ、お母さんと僕で暮らそうよ。」
三井「え？」
優輔「お父さんはさ、病院で忙しいでしょ？で、藍沢先生は肺がんで知られることなく死なないように、僕とお母さんが居る。これなら良いんじゃない？」
橘「そうだな。」
そして、俺ん家に急遽引っ越しした2人と買い物へ。
その時は、ずっと、優輔くんの優しさを感じていた。
1人で生きて、1人で最期を迎える。そう思っていた。友達(今はいないけど)や父さんにも言っていないほどだ。けど、中１男子の考えで全てが変わった。
そして、優輔くんは2度目の転校。近所にある中学校へ。
優輔「結構生徒数いるんだね。」
三井「何部に入るの？」
優輔「あー。でもねー、動きたいんだよね～。」
藍沢「剣道部はどうだ？体だけじゃなく心も鍛えられる。俺も剣道やっていたから教えられるぞ。」
優輔「ホントに？」
まるで息子が来たようだ。1つ1つの小さな成長や嬉しそうな顔。これが見られるのは、肺がんのお陰でもあるのだ。
三井「良いんじゃない？」

翌日

学ランをビシッと決め、笑顔で学校に行った。昨日買った黒いリュックが輝いて見える。
三井「なんだかこっちまで嬉しくなるわね。」
藍沢「はい。」
プルルルルルル
藍沢「もしもし藍沢です。(元気か？橘だ。)はい。(優輔は何部に入ったんだ？)剣道部です。(あ、お前もやってたもんな)白石達は？(勘づかれたかもしれん。)まあ、こっちは元気でやってます。(分かった。じゃあな。)はい。」ﾌﾟﾂｯ
三井「どう？」
藍沢「勘づかれたって。」
三井「そうゆう所は熱があるんだよね。」
ふとあの4人を思い出す。フェローの時、患者を病状で呼んでいたことから、トンネル内多重衝突事故、列車脱線事故、飛行機が不時着し炎上、トンネル崩落事故、フェリー衝突事故。
多くの災害現場を体験した。共に助け合った。しかし、俺はそんな奴らを置いて……
三井「こうゆう決断は、罪悪感しか残らないわよね。」
藍沢「はい。この決断が、本当に良かったのかって……」
三井「私も、そうだったから。分かる。」

～部長室～
橘「肺がん？」
夜中、俺と橘先生が当直だった日。この日が最後でもあった。
藍沢「元々、そうでしたが、先日の検査でステージ4になっていると。」
橘「ステージ4か。治療とかってどうするんだ？」
藍沢「何も受けません。ですが、10日ごとの検診には来ます。」
橘「珍しいな。」
藍沢「ここが引っ越し先と新しい番号です。」
橘サンキュ。」