ガトーショコラ3【目黒蓮】

◼️ ページ3

30分。
全然仕事しなかった。
いや、できなかった。
パソコンの画面を見つめたまま動けなかった。



多分私だけじゃない。
ほとんどの女性と部長もくらってた。



目黒くん、私とLINE交換したの忘れたのかな？
なんでわざわざ聞きに来たんだろう…。




夢心地のままエントランスに向かう。
誰よりも早く目黒くんを見つけた。





『…お待たせしました…』
目｢別に待ってないよ｣
『…待ってないの？』
目｢待ってたか｣




お茶目に笑う。
可愛い。好き。





会社を出て目黒くんと並んで歩く。
どこに行くのか分からないまま。




私、目黒くんとキスしたのに。
目黒くんと一夜を共にしたのに。
なにも変わってない。
多分目黒くんが醸し出す空気のせいかな？




『…目黒くん…私とLINE交換したの…覚えてる？』
目｢うん｣
『覚えてるんだ…』
目｢なんで？｣
『いや、LINEで送ってくれたら、わざわざ来なくても良かったのにって…』
目｢あー、確かに｣
『今気づいた？』







思わず笑う。








目｢あ、やっと笑った。よかった｣








ビュウと強く風が吹く。
記憶がリンクする。
目黒くんに恋に落ちたあの日と。






好き。
変わらぬ思い。







そして到着したのは
たまたま行く先にいるA子から卒業のきっかけとなった
ホームセンター。





え？もしかして。






目｢あ、まだあった｣
『…え』
目｢よかったな｣





目黒くんが見覚えのあるボールペンを2本手に取った。
私は涙を堪えるのに必死だった。





目｢次は気をつけて｣






目黒くんの手から一本私に手渡される。
私との会話ちゃんと覚えてくれていて
行動に移してくれるところ。
この目黒くんに対する言葉がもう私の辞書には見つからない。







好きなんて言葉で収まらない。






目｢泣くなよ｣
『…泣いてない』
目｢泣いてんじゃん｣






悪戯に笑う。





目｢もう壊してほしくないけど、
春川の部長おっちょこちょいだから｣
『…ごめん』
目｢だからこれ。予備は俺が持っとく｣
『…え？』




目黒くんの綺麗な手にもう1本のボールペン。
無条件にお揃い。
私の嬉しいを全部知ってる。





目｢俺、春川には笑ってほしいのに
泣かせてばっかりだな｣
『…目黒くんだからいいの…』
目｢なんだよそれ｣





目黒くんが笑う。
それだけで私は幸せ。





『…目黒くん』
目｢ん？｣
『いっぱい、ありがとう！』





私は今日も今日とて目黒くんに恋をする。

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