【wrwrd!】深く長く、愛を吐く (ページ35)

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Ⅳ ページ35

式の後のクラス会。
男はスーツのまま、女はドレスに着替えていた。あいつは水色のドレス
『私、一番水色が好き』
好きな色、変わってなかったんやな。

視線を感じた、あいつのいる方から。…なんて気のせいか。俺にとって都合のいいように解釈しているだけ。明日の予定もないし、二次会にも参加することにした。

なんとなく酒を飲む気分になれず。でも勧められるがまま、度数の低いものに口を付けた。ちょうど部屋の対角線上。友人に煽られ、ウイスキーを一気飲みしたあいつ。
…あほやなぁ。いくら強くたって、そんな飲み方するもんじゃない。ましてや女子なのに。
でも今の俺には『なにしとんねん』なんて声を掛ける資格すらないのだから情けない。

時間を確認するために腕時計に視線を落とした一瞬。近付いてくるヒールの音に気付いて顔を上げる。
酒のせいで頬をほんのり赤く染めた、水色のドレスがよく似合う女。

「久しぶりだね、コネシマ」
「ん…、おお、久しぶり」
「元気だった？」
「まぁな、Aは？」
「ぼちぼちかな」
「なんやそれ」

思ったより普通に話せていることに拍子抜けした。…俺が変に気にしすぎていただけみたいやな。

「ねぇ」

突然、ネクタイが持ち上がる。少し首が苦しい。

「私と別れて後悔してるでしょ？」

こちらを見下ろす目を細め、真っ赤なグロスを引いた唇の端を持ち上げる。

「…せやなぁ、惜しいことしたわ」

これはほんま。俺は、ほんまに後悔してんねんぞ。
なんて、そんなこと悟られないように。あくまでも冗談っぽく。

なぁ、なんでそんなに泣きそうな顔しとんねん。