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高校三年生。やぶひか ページ35

『やっっっと卒業だぁ!たかきに会える〜!』

『いやいや会ってはいたじゃん』

『いのちゃんて、意外に一途だよねぇ』

『意外にってなに』

あれから俺はちゃんと光に告白というものをして、光からも良い返事があった。

正式に恋人同士になった。はずだった。

思春期の高校生なんてやりたい盛りばっかだと思っていたのに、どうやらそれは俺だけだったらしい。

俺の部屋なり光の部屋なり甘い雰囲気になることは多々あった。

その度にまだ早いだ身体目当てなのだと光に窘められて、その時は俺が悪かったかもと頭を冷やしていたけれど。

俺が悪いか?
いや光が悪いというわけではないけれど。

せっかく周りにも公認のカップルというものにもなれて俺にも光にも寄ってくるやつが減ったのに。

あぁ、光に触れたい。

『ねぇやぶ、ひかる変な奴についてっちゃったけどいいの〜?』

『よかねぇよ!なんでお前は最後までそうなんだ!』

呑気に話す伊野尾にやっぱり腹を立てながら光を探しに行く。

『別に最後じゃねぇし』

『どうせ4月からも一緒なのにね』

4月までには絶対に、光の全てを俺のモノにしてやる。

毎月あげられるそんな誓いを、俺はいつになったら叶えられるのだろう。







『八乙女のこと、俺ずっと好きだったんだ』

『…ありがと。でも俺は薮のことが好きだから』

教室から聞こえてきたそんな会話に、にやりと自分の口角が上がるのが分かる。

こんなふうに光がしっかりと意思表示をしてくれる度に、愛されてる実感が湧く。

俺の前では滅多に好きだなんだと言ってくれないけれど、ここぞという時に決めてくれる光が誰よりもイケメンだと思った。

『光』

『あ、薮。ごめん、帰ろ?』

自然と繋がれる手も、俺を見上げるくりっとした瞳も、きっとこれから先俺の隣からなくなることはないだろう。

でもこの教室は、最後だから。

『光、キスしてい?』

『ここで?』

少し困り顔だけれど、その瞳には薄ら期待も入り交じっていて。

『もう教室なんて来ないでしょ?だから、最後に』

『もう、しょうがないなぁ』

素直に目を閉じた光の頬にそっと手を添えて、触れるだけのキスをする。

カシャッ

音に驚いて光と2人で振り向くと、

『いいね〜青春だね〜』

『薮くんやらしい〜』

『い、のちゃんとだいちゃ…見てたの?』

『悪趣味だな。でもその写真は送れよ』

最後の教室で、最後のバカ騒ぎをした。

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作者名:ney-ko | 作成日時:2018年1月22日 23時

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