はんぶんこ (ページ19)

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競合。やぶひか+たかいのページ19

『俺やべーかも』

あれデジャヴかな。先週くらいに同じような面で同じような相談をされた記憶がある。

まぁこっちは自覚してるだけマシかもしれない。

『なに。光が可愛すぎて我慢も限界ですか』

『お前エスパーかよ』

そんなの見てれば誰でも分かるんだよ。俺だからじゃない。超鈍感な高木でさえ、薮くん溜息増えたね、なんて言ってるんだから。

『あ、俺と高木、付き合ってるから』

ないとは思うけど、高木で解消しようなんて思うなよ。そんな心配してないけど。

『ぜんぜん…気付かなかった…』

なに。なんでそんなバツの悪そうな顔するんだよ。

薮は偏見ないと思ってる。勝手にだけど。頭が良くてキングオブポジティブな薮は、俺が知る中で最も柔軟な頭の持ち主だ。

『お前と光のこと、ちょっと疑ってたし…』

そっちかよ。なんだその疑惑。
残念、俺と光はネコだから結ばれることは有り得ないんだな。

『まぁたしかに光は、抱きたくなるくらい可愛いよな』

俺としてはただの例え話で言っただけなのに。

『お前も光のこと抱きたいとか、思うの？』

『いや抱くってか…可愛いなとは思うよ。最近色気もすごいしな』

『色気？！お前も光の色気にやられてんのか？！』

誰もそんなこと言ってない。
何こいつ、うざ。

『光の色気が…俺あんな子に育てた覚えないのに…』

光だって薮に育てられた覚えはないと思うぞ。

『でもさ、いつまでもウジウジしてると他の男にとられちゃうんじゃない？』

『ほかの、おとこ…』

超乙女思考の自分からは何も出来ないネガティブな光のために、いい加減薮に動いてもらわなきゃ困る。

それに実際、光から色気が溢れ出ているのは本当だしそれは周りにも影響していると思う。

嘘は言ってない。

『高木、とか？』

『は？お前何言ってんの』

突然の薮からの挑戦的な言葉に思わず俺も熱くなる。

『高木あたり見境なく手ぇ出すだろ』

確かに、俺と付き合う前の高木はそうだった。
特に深く考えることもなく暇つぶしくらいに思っていたのかもしれない。

だから、俺の好きという言葉を疑り続けて振り向かせるのに時間がかかったんだ。

『高木は俺に夢中だもん』

今やっと、自信を持って高木に愛されていると言えるようになったんだ。

光のためとはいえ、クズみたいな薮に助言してる自分を恨みたい。