年上彼女 ページ10
宏太と深雪ちゃんはあれ以来微妙な距離を保っていて、近すぎず遠すぎず、見ていてほっとするような雰囲気だ。
ひかたちも別の家に帰っていることは知っているし、今の状態に特に誰も口を出すことはなかった。
仲が良すぎるバカップルも考え物だと思った。
今までの宏太と深雪ちゃんに挟まれているのは心地いいものだったし、安心した。
でも今の2人の間に僕は入ろうと思わない。
だってなんだか2人が楽しそうに見えるから。
光『深雪さん、また痩せちゃったな』
高『喧嘩して4日目?』
伊『俺だったら彼女のあんな姿見てられない』
深雪ちゃんは綺麗な痩せ方じゃなくて、疲れて病んでるように、げっそりとしてきた。
それでもいつも通りに笑っているから、僕は怖かった。
でもひかたちはそれを当たり前として見ていて、宏太にも何も言わなかった。
伊『俺だったら意地でも連れて帰る。なんで薮はなんにも言わないの』
高『伊野尾くん、待って!』
伊野ちゃんは深雪ちゃんのあんな姿を見ていたくなくて、でも宏太にも何も言えなくて。宏太から相談ももちろんないから、きっと心配で仕方ないんだろう。
怒った伊野ちゃんは雄也が追いかけて行ったから任せる。
山『俺たちあんなに辛そうな深雪さん見たの初めてだけど』
宏太に出会うまでの深雪ちゃんは男にフラれる度に痩せこけて、周りが心配するほど荒れていたと聞いたことがある。
有『でも薮くんたち別れるわけじゃないんでしょ?』
大ちゃんが何気なく言った言葉に僕たちは少し不安になる。
傍から見てる分には2人は別れそうな気配はないし、きっと僕たち以外の人は2人が喧嘩中であることさえも気付かないだろう。
でも宏太が深雪ちゃんを見る瞳が切なくて、まるで手の届かなくなった人を切望するような顔で深雪ちゃんを見ているから。
どうしても宏太寄りの僕たちは、何とかしてあげたくなるんだ。
そんな宏太や僕たちに、深雪ちゃんも気付いていると思う。
光『深雪さんも薮も、こういう時があってもいいだろ。こんな時間も必要だよ』
ひかは見守る気満々だけど。
僕は宏太と深雪ちゃんが幸せになれるならどうだっていい。
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作成日時:2017年5月8日 9時