年上彼女3 (ページ46)

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年上彼女ページ46

薮先輩は私が入学した時からずっと人気者。
背が高くてイケメンで優しくて面白くて、毎日ふにゃふにゃ笑顔。
きっと恋に落ちた女の子は私だけじゃないはず。

一緒にいる光先輩も伊野尾先輩も高木先輩も、みんなイケメン。そして私と同級生の有岡くんも、やっぱり可愛くてイケメンだ。

その中でも薮先輩を好きになったのは、やっぱり彼女に一途な姿が印象的だからだ。

寄ってくる女の子は一刀両断。
『ごめん、俺彼女しか好きになれないから』
と微塵も他人に靡かない姿がまた格好良くて。

あんな風に自分も大事に愛されたい！と思わずにはいられないのだ。

薮先輩のことを好きだと知られてしまったら傍に居られなくなる。

そう悟った私は絶対にこの気持ちを隠そうと心に決めた。

人の心は変わるもの。
いつか薮先輩が彼女と別れてしまった時に、私は自分の気持ちを伝えようと思っていた。

その間に私に好きな人が出来ればそれはそれで良し。

でも近くに居ればいるほど、薮先輩のことをどんどん好きになっていったのはもう否定出来ない。

薮先輩が私も含め女の子には必要以上に関わらないことだけが、私にとって唯一の救いだった。

挨拶だけ出来ればいい。同じ空間にいられればいい。名前を覚えてもらえるだけでいい。

私は充分幸せだった。

『薮のこと好きなの？』

それなのに、どうしてこの人にバレてしまったんだろうか。私のどこに落ち度があった？

『そんなに警戒しなくても、誰にも言わないから大丈夫だよ』

いつも通りへらへらと笑いながら伊野尾先輩は私を見て言った。

『でも、早めに諦めた方が君のためだよ』

その言葉は、私の心にズシリと重くのしかかった。
そんなこと言われなくても分かってる。

薮先輩と彼女が一緒にいる所を見て、私の失恋は決定したようなものだ。

敵うとか敵わないとか、そういう問題じゃなかった。

薮先輩と彼女は、まだお互いに片想いしている状態だった。
2人してなにをそんなに怖がっているのか知らないが、周りの人間なんて蚊帳の外だ。
あの2人にはあの2人の世界しかない。

『もう諦めた、って顔だね』

そしてこの人は、私の傷を抉るような真似をしてくる。

だって諦めなきゃ仕方ないじゃない。
どんなに想っても絶対に薮先輩には届かない。

薮先輩のことは何も知らない。
本当は何が好きで、何が嫌いとか。何で笑って、何で怒るのかとか。
私という存在を認識しているのかー。

『慰めてあげよっか』

大好きでした。