年上彼女3 (ページ5)

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年上彼女ページ5

『薮くんに連絡しなくていいの？』

「いい。いま顔見たくない」

詳しいことは私と深雪しか知らない。
あの男はやっぱりクズだったか。離婚まで深雪のせいにするなんて、お門違いもいいところだ。

それにしてももっと信じられないのは薮くんだ。怒りに任せて会社でそんなことするなんて大人としてなってない。彼氏としても最低。

深雪はしばらく泣いていたけどようやく落ち着いて、次は怒りがこみ上げてきたようだ。

探し回られても困るからメールだけはしておいた。一言だけど頭の良い薮くんなら深雪がうちにいることも、私が怒っていることも、全部理解するはず。
さすがに薮くんはうちまで知らないから迎えにもこられない。

『まぁ落ち着くまでここに居たら。通勤は遠くなって面倒かもしれないけど』

「ありがと。助かる」

何かあるだろうとは思ったけど意外に事は重大だ。まさか離婚しているなんて思わなかった。深雪は自分のせいだと思い込んでいるようだけど、絶対に深雪との不倫以外にも原因があったに違いない。

当時は私たちもまだ子どもで、不倫が悪いことなんだと意識は薄かったと思う。
深雪はあの男のことが好きで、ダメだと分かっていても幸せそうに見えた。応援は出来なかったから毎日早く別れろと言っていたけど。

あの男が遠くへ転勤になって別れた時、深雪は毎日泣いていたけど私は心の底から喜んだ。幸せな結末なんて有り得なかったからだ。

間違いなく深雪は今薮くんと一緒にいる方が幸せだ。例え結婚が可能になったとしても誰も喜ばない。

薮くん、頼むから自分が起こした間違いに早く気付いて。

「私、幸せになっちゃいけないのかな」

『またそんなこと言って。今薮くんと別れたら後悔するよ。薮くんのことを不幸にする』

どれだけ薮くんに愛されて大切にされていても、深雪の不安は拭われない。それはもう深雪の性格上仕方の無いことだと思う。

だから誰も邪魔しないで。やっと安心して見守ることが出来る相手と結ばれたのに。

「仕事大丈夫かな。私なんで帰ってきちゃったんだろう」

『課長に良いって言われたんでしょ。大丈夫よ。薮くんだって出来る仕事なんだし』

「薮くんなんて仕事に追われて苦労すればいい。私の仕事量みて私に敵わないって思い知ればいい。出来なくて課長に怒られればいい。もっと大人にならなきゃ私より上に立つなんて無理なんだから」

薮くんに追い付かれないように必死な深雪は、私しか知らない。