年上彼女3 (ページ40)

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年上彼女ページ40

『深雪さん？』

「あれ、山田くん、お疲れ様」

どうしても週明けに間に合わせたい仕事があって、家だと集中して出来ないから土日返上で会社に来たら深雪さんに会えた。
これだけでラッキーと思ってしまう俺も安い男だなと思う。

「マジメだね」

『いや、俺大ちゃんみたいに要領よくないから』

大ちゃんはその場のノリと気合いで仕事をやりきるタイプ。それじゃ済まない事もあるはずなのに重大なミスに繋がらないってことは、大ちゃんがそれだけ仕事が出来る証拠。

俺も若さと勢いだけで乗り切れるものなら乗り切りたいけど、完璧主義な性格が邪魔をするんだ。

「あんまり頑張りすぎないでね。心配になるから」

『深雪さんこそ』

薮ちゃんは本当に幸せもんだよな。あんな綺麗で優しい彼女がいる。

深雪さんは嫌いな人にはとことん冷たくて、優しく出来るのはその人が自分に優しいからだと言う。
むやみに人を嫌ったり突き放したりはしないけど、一度無理だと思ったら諦めるのが早い。

でもそれは仕事には通用しなくて。極端な考え方の深雪さんに課長はほとほと手を焼いていたとか。
二十歳過ぎた大人が考え方を変えるってなかなか出来ないことだと思うし、深雪さんの考え方を変えた課長ってやっぱすごい。

だから深雪さんも課長のことは心から尊敬しているし、課長の言うことにはNOと言わない。

多分今日出社したのも課長命令だと思う。きっと薮ちゃんも一緒に出社するつもりだったに違いない。
深雪さんの首元についたキスマークが薮ちゃんの心境を全て物語っている。

深雪さんは薮ちゃんしか見てないのに、薮ちゃんは何がそんなに不安なんだろう。
例の件があって深雪さんが指輪を付けるようになってから、深雪さんはかなり柔らかくなった。

それは薮ちゃんも気付かない、きっと俺たちだけが気付くことが出来る深雪さんだ。
薮ちゃんは深雪さんと近過ぎて、深雪さんのことしか見てないから、本当の深雪さんに気付くことが出来ない。

まぁそれで2人とも幸せそうだから何の問題もない。

でも薮ちゃんの嫉妬だけはどうにかならないかなぁ。俺はそれも承知で深雪さんに構うんだけど。

だって薮ちゃんの嫉妬してる姿は可愛くて仕方ない。係長の威厳なんかゼロになる。
深雪さんが俺の言ったことに照れた反応を返してくれるのも俺にとっては好都合。

薮ちゃんのために他の男を牽制してる、なんて誰にも教えてやらないけど。