年上彼女 ページ3
まさか倒れるほど体調が悪いなんて全く気付かなかった。本当は今すぐ帰って休ませたいけど、俺も仕事がある以上そうはいかない。電車で帰らせるわけにもいかない。今日車で来たことだけが幸いだった。
『深雪』
「なんで...」
『嫁と別れてからずっとお前を探してた。約束しただろ、別れたら一緒になろうって』
「そんな約束してない」
『似てるとは思ったけどまさか本人だとは思わなかった。随分と部下に慕われてるな』
「何しに来たの」
『つわり?てことは彼氏がいるんだな』
「つわりじゃない」
『俺のこと好きだろ?なんなら今すぐ結婚もできる』
「冗談じゃない。来ないで」
『お前の身体が一番いい』
「やめて!触らないで!」
『お前のせいで離婚したんだ。責任とれよ。自分だけ幸せになろうったって許さない』
外回りの帰り、深雪ちゃんの様子を見に医務室へ寄ったら最悪の場面に遭遇した。
知『深雪ちゃん!』
「知念くん!?」
知『お前誰だよ!深雪ちゃんに触るな!』
深雪ちゃんの上に跨る男を突き飛ばす。僕これでも強いんだから。
知『深雪ちゃん、大丈夫?』
「知念くん、ありがと」
深雪ちゃんは泣いていて、服も乱されている。
知『お前、深雪ちゃんになにした』
自分でも驚くほど低い声が出た。僕は小さくて可愛くて冷静で、本気で怒ることなんて滅多にない。感情を表に出すこともない。
でも深雪ちゃんを泣かされたことは許せない。宏太の深雪ちゃんなのに、こんな知らない男が触れるなんて許せない。僕たちの深雪ちゃんなのに、こんなヤツに傷付けられるなんて許さない。
知『深雪ちゃんが何言っても許さないから。宏太呼ぶ。あ!待て!』
「知念くん!待って!」
知『なんで止めるの!』
「何もされてない。薮くんには、自分で話すから」
深雪ちゃんは本当にバカだ。
目に涙をいっぱい溜めて震えてるのに、それでも大丈夫だと言う。
でも今回だけは絶対に許さない。
知『宏太、今すぐ医務室来て。ダッシュ』
こんな格好の深雪ちゃんを一人に出来ない。宏太は仕事があるけど、そんなことよりもボクは深雪ちゃんの方が大切だ。
薮『知念、どうした』
宏太は深雪ちゃんを見て呆然。
薮『何があったの』
知『僕が来たら知らない男に深雪ちゃんが襲われてた。そいつ逃げちゃったけど、深雪ちゃんこんなだし一人に出来ないから宏太呼んだの。深雪ちゃん、自分で話すんでしょ』
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作成日時:2017年5月8日 9時