年上彼女2 (ページ9)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:26,372 hit

年上彼女ページ9

あれから、薮ちゃんは光くんにべったりだ。
公私混同とまではいかないけれど、俺たちにしか分からない距離感がある。
雄也と伊野ちゃんもやたら光くんにくっついている気がする。

知念も気付いているから俺の勘違いじゃない。

一番不自然なのは、薮ちゃんと光くんが必ず一緒に帰っていることだ。ここ数日、毎日。

薮ちゃん家に突撃しようとしたら知念もついてきた。そりゃそうだよな。

オートロックの部屋番号を押したら深雪さんはすごく驚いた感じだったけど、快く鍵を開けてくれた。

「どうしたの、2人とも」

玄関にはやっぱり光くんの靴がある。

山『光くん、どうしたの？』

俺がそう聞くと深雪さんは困った顔をした。
なんだ、俺たちには教えてくれないの。

薮『とりあえず2人ともあがれよ』

深雪さんの後ろから顔を出した薮ちゃんはいつものふにゃっとした笑顔だった。

光『おー、知念も山田もどうしたー』

光くんもいつも通り。拍子抜けした。
一大事かと思ったのに。

知『どうした、じゃないよ！ひか全然元気ないし、宏太たちだっておかしいの、みんな気付いてるんだからね！』

知念が頬をぷくっと膨らめた。

山『言いたくないならいいけど、仕事のことじゃなさそうだから、俺たちも気になったんだけど』

だって光くんが薮ちゃん家に当たり前のようにいるなんて、当たり前だけど当たり前じゃない。
あれ、でも昔も光くんがいつも薮ちゃん家にいたことがあった気がする。あの時は俺たちも毎日一緒にいるわけじゃなかったらあまり気にしていなかったけど。

山『大学の頃もあったよね、光くんが薮ちゃん家にいたこと。あの時は仲良いな、くらいにしか思ってなかったけど、よく考えたら深雪さんもいるし有り得ないよね』

俺がそう言うと薮ちゃんと深雪さんもあぁ、思い出したみたいな顔をした。

光『え、お前ら忘れてたの？！』

「や、あんまり頭がよろしくなくてすみません」

薮『そんなこともあったよね～そっか、あの時と同じか～』

しみじみしてる薮ちゃんは当時を思い出して懐かしんでる。
深雪さんはなんで忘れてたんだろ～とボケーッとしてる。
もう、なんなのこの人たち。

知『で、なんなの』

知念もちょっとご立腹だ。今のところなんにも話が進んでない。

薮『まぁ怒るな。光、話してもいい？』

薮ちゃんが知念を窘めて、穏やかに光くんに話しかける。
光くんはうん、と頷いた。光くんのこういうとこが可愛い。