検索窓
今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:26,383 hit

年上彼女 ページ27

「完全にはぐれちゃったね」

薮『そっすね』

最初から先輩が暴走したおかげで俺はほとんど先輩と2人きり。
あいつらを誘った意味ってあったんだろうか。
先輩もみんなで行きたい、と言った割に「ま、いっか〜」と笑っている。

薮『楽しそうですね』

「え、楽しくない?」

薮『いえ、そういう意味じゃなくて。俺と2人だけになっちゃったんで』

「あ〜そだね。みんなで来た意味あんまりなかったね」

先輩はそんなに深く考えていなさそうだ。やっぱり意識してるのは俺だけか、と思うと少し寂しくなる。

「私、彼氏とお祭りって来たことないの」

薮『え?』

「行くって約束してたのに喧嘩してダメになったり、人混み嫌だって断られたり。男の人はお祭りって嫌いだと思ってた」

先輩は過去にどんな男と付き合ってきたんだろう。聞けば聞くほど可哀想になる。

「私自分勝手だから行きたいとこ走っちゃうし、いっぱい食べるし、私と居ても楽しくないのかなって、」

薮『楽しい!俺、すごく楽しいです』

さっきまでと違って、あまりに悲しそうな顔をするから。俺は思わず先輩の手を握った。

ねぇ、俺ならそんな顔させない。
お祭りなんていくらでも一緒に行ってあげる。
先輩が走ったら俺もついてく。
いっぱい食べたいなら俺も食べる。

「良かった。つまんなかったら言ってね」

だから、そんな悲しそうな顔で笑わないでよ。

薮『花火、始まるから行きましょ』

「薮くん、手...」

薮『走ってっちゃって迷子になったら困るから』

俺がそう言うと、先輩ははい、と素直に返事をして、ぎこちなく手を握り返してくれた。
何この可愛い生き物。

この時初めて、俺の中のS心がわずかに顔を出した。

この人もしかしてイジメたら素直になるタイプかもしれない。
そんなことしないけど。まだ。



手を握ったあたりから、明らかに先輩の口数が減った。
体調が悪いのかと思ったけどそんなこともなさそう。
これは、緊張してる?

花火が始まってから、わざと先輩の耳元で話しかける。もちろん手は繋いだまま。

薮『綺麗ですね』

花火を見ていた先輩の肩が大げさに揺れる。

「綺麗だね。誘ってくれてありがと」

耳が少し赤くなっている。

先輩の、ちゃんと目を見て話してくれるところが好きだ。
女子の割に背が高いところも、よく見ると垂れ目なところも、浴衣の上からでも分かるスタイルのいい身体も。

薮『先輩、俺のこと好き?』

直接聞くのは初めてだ。
先輩はなんで答えるだろう。

年上彼女→←年上彼女



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
23人がお気に入り
設定タグ: , やぶひか , Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2017年4月24日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。