愛したい気持ち ページ24
俺は充分に愛されていると思うんだ。
先輩たちにからかわれたって、薮先生が俺に向ける愛情に嘘はないし、疑うこともない。
だから本当は、薮先生に俺が同じだけ伝えられているかが不安なだけであって。
『アイツはんな事気にするタマじゃねぇけどな』
大親友であろう光くんがそう言ってくれるから、それに胡座をかいていたのかもしれない。
『大ちゃんはそういうのちゃんとやぶに伝えてあげてんの?』
このいのちゃんの言葉がずんと心にのしかかった。
あれよあれよという間に俺といのちゃんは仲良くなった。
光くんや薮先生がいなくても2人で会えるほどには気が合う。
きのこヘアーに似合うハンチング帽を綺麗な指先でつまみながら、はぁ、とため息。
『やぶも超がつくほど鈍感だけどさ、大ちゃんはそんなやぶに気付かないもんね』
『好き、って言ってると思う…』
『だからそうじゃなくってぇ』
好き、なんて言葉も薮先生の体温がなければ出ない言葉。
それ以外に伝える術を、俺は知らないのだ。
『病院でも大ちゃんにだけ態度が違う、ってひかる言ってるよ』
態度が違う、のは確かだ。
一緒に暮らし始めてから、薮先生を見る頻度はかなり増えた。
それは今までも同じくらいそこに居て、俺がそれに気付くようになっただけなのか
それとも、意図して薮先生がそこに居る機会が増えたのか。
もし、後者だとしたら。
『まぁあいつには追っかけさせときゃいいけどさ』
『追っかけるって…俺が逃げてるみたいじゃん』
『そうは言ってないけどさぁ。追う側の苦労は俺もよく分かるし』
光くん、逃げてたのかな。
『困ってることはない?』
『え、なに急に』
『なんかして欲しいこととかないの?』
『だからなに…』
そうして俺ははたと気付いたのだ。
『それ、先生に、よく言われる…』
『そうでしょ。俺もひかるによく言っちゃうもん』
へらっと笑っているのに、その瞳はなんだか切なそうで。
ふにゃっと笑う薮先生の瞳によく似ている。
『ひかるは完璧じゃないのよ、全然。おバカだし天然なところもあるし。だけどなんつーの…本心が読めないとこがあるっつーか。出会った頃は特にね。まぁそんなとこが可愛くてしょーがないんだけど』
『強がりだよね。辛いとこ見せてくれないってゆうか』
猫背なのにしゃんとした光くんの背中を思い出す。
『それ、大ちゃんも一緒だから』
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しょぼん(プロフ) - 更新待ってました!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月15日 10時) (レス) id: 80f9088859 (このIDを非表示/違反報告)
いわし - これからの展開が気になります!!ぜひ、更新してほしいです!! (2019年3月1日 7時) (レス) id: 868e16e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - やぶあり、やっぱり大好きです!これからも頑張ってください!続き楽しみにしてます! (2018年11月2日 6時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 次のお話はどんな感じ何でしょう!とても楽しみです! (2018年10月4日 18時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 凛さん» 凛さん、いつもありがとうございます!ありさんをひたすら愛でる薮さん、お楽しみください\(^o^)/ (2018年10月1日 19時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ney-ko | 作成日時:2018年9月24日 5時