膨れるこの万象を ページ18
『もう帰れ。ほんと』
『なぁんだよやぶのばーか！』
『はいはい、帰るよー。大ちゃんまたな』
『うん、おやすみ！気を付けてね！』
全然手伝いなんかしてかなかった。結局段ボールはそのままだし、光の美味い飯を食えたことくらいが嬉しかったこと。
『伊野尾さん、綺麗な人ですね』
『…全然わっかんね』
伊野尾と初めて会うやつはみんなそう言うからたぶん綺麗なんだと思う。でも俺は全く思わない。
小学生の頃からなんとなく一緒に居るようになって、中学生の時に光も仲良くなって。
高校で離れてそんなに頻繁に会うことはなかったのに、まさか実習先が一緒だなんて。
今病院が一緒になったのだって、まじでただの腐れ縁だ。
その間に伊野尾と光がそんな関係になっているなんて、予想もしていなかった。
『せんせ？』
『風呂、入るか』
『片付けは？』
『明日でいいだろ』
腕を引くとぽすりと胸にかかる重さが愛おしい。
緊張しているのかわずかに堅くなった肩を抱くと、真っ赤になった顔が上を向く。
初めてキスをしたあの日から、ずっとこの顔が頭から離れなかった。
吸い寄せられるように唇を重ねると自然に開くようになった入口から舌が俺を迎え入れる。
決して慣れているとは思わない。それでもこんなに惹かれるのは、なぜだろう。
『んっ…ンん』
この声が、留まるはずの俺の理性を崩していく。
狭い廊下の壁に押し付けて、何度も角度を変えて咥内を味わう。
ついさっき伊野尾たちが出て行った玄関が目の端に映る。
きっと俺の欲をぶつけられているこいつはそんなこともう忘れているんだろう。
背中に回された腕は俺の服を必死に掴んでいて、硬く閉じられた目尻から涙が零れそうになっている。
味わいたい、けど。
『はっ、』
『んぁっ…はぁっ、』
唇を離すとがくんと膝から崩れ落ちそうになるのを支える。
『腰抜けたか』
『こんな、急に…』
『誘ったのはお前だろ』
『さそっ？！なんでっ』
『うるさい。ここで抱くぞ』
『やっ！それはやだ！』
『ちゃんとベッドで抱いてやるから、早くしろ』
じゃあ変な事しないで下さい！なんてまだキャンキャン言ってるこいつが、これからベッドでどんな顔を見せてくれるだろう。
滅茶苦茶にしてやりたい、と思うのに。
それ以上に大切にしてやりたい、なんて。
これこそ伊野尾に笑われそうだ。
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しょぼん(プロフ) - 更新待ってました！これからも頑張ってくださいね！！ (2021年8月15日 10時) (
レス) id: 80f9088859 (このIDを非表示/違反報告)
いわし - これからの展開が気になります！！ぜひ、更新してほしいです！！ (2019年3月1日 7時) (レス) id: 868e16e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - やぶあり、やっぱり大好きです！これからも頑張ってください！続き楽しみにしてます！ (2018年11月2日 6時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 次のお話はどんな感じ何でしょう！とても楽しみです！ (2018年10月4日 18時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 凛さん» 凛さん、いつもありがとうございます！ありさんをひたすら愛でる薮さん、お楽しみください＼(^o^)／ (2018年10月1日 19時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ney-ko | 作成日時：2018年9月24日 5時
