発想の転換 ページ13
『あれ、大ちゃんなにしてんの?』
『光く〜ん…俺アパートなくなっちゃうんですよぉ…』
『取り壊し?あのアパート古そうだもんな』
築40年近くになる俺の住んでいるアパートの取り壊しがついに決まった。
入居を決めた時点で大家さんにもいつになるか分からないとは言われていたけれど、5年も住んだアパートには愛着しかない。
『病院からも近くて結構気に入ってたんだけどなぁ』
『大ちゃん綺麗に住んでたもんな。病院から近いとこだと結構家賃高いよ』
『そうなんですよねぇ』
今のアパートが1Kで4万という破格の安さ。それに加えて職場からも近くて大家さんも良い人。
あんな良い物件にはそうそう巡り合えない。
『いいじゃん、一緒に住んじゃえば』
『え?光くんと?』
『なんでだよ。うちは無理』
『そうっすよねぇ。光くん家には可愛い彼女さんがいるもんねー』
『別に可愛くねぇよ』
あれ、じゃあ俺は誰と住むの。
『薮と。あいつん家めっちゃ近いよ』
光くんの発した名前に、言葉を失う。
『な、んで、光くん…知って…』
『はぁ?なに今更』
さも知っていて当然みたいな顔をする光くんが、信じられなかった。
『俺とあいつがどんだけの付き合いだと思ってんの。あいつの情報なんか筒抜けだよ』
なになになんで。確かに幼馴染って聞いたけど。薮先生との関係まで知られているなんて、聞いてない。
『飛んで喜ぶんじゃない、あいつ』
そうなのかな。
でもそれよりも。
俺と薮先生の関係って、そもそもなに。
『こっんの、バカ!!』
『いって!なに?!光?!』
顔を見たらひっぱたかずにはいられなかった。
こいつは本当に自分のことしか考えていない自己中心的な馬鹿野郎だ。
『大ちゃんが家なくなるって知ってんだろ』
『俺が言ったからな。ていうか痛いんだけど』
『どうすんだよ』
『どうするって?』
『バカか!!』
『だから痛ぇって!』
何回もこのバカの頭を叩く。
大ちゃんが不憫で仕方ない。なんだって大ちゃんはこんな奴がいいんだ。
『お前、大ちゃんになにも言ってないんだって?』
『なにもって、なに』
『大ちゃんが泣いてたぞ。遊ばれてるだけなんじゃないかって』
肝心な言葉も言わずに、自分の家の合鍵なんて用意しているこいつは、本物の馬鹿だ。
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しょぼん(プロフ) - 更新待ってました!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月15日 10時) (レス) id: 80f9088859 (このIDを非表示/違反報告)
いわし - これからの展開が気になります!!ぜひ、更新してほしいです!! (2019年3月1日 7時) (レス) id: 868e16e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - やぶあり、やっぱり大好きです!これからも頑張ってください!続き楽しみにしてます! (2018年11月2日 6時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 次のお話はどんな感じ何でしょう!とても楽しみです! (2018年10月4日 18時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 凛さん» 凛さん、いつもありがとうございます!ありさんをひたすら愛でる薮さん、お楽しみください\(^o^)/ (2018年10月1日 19時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ney-ko | 作成日時:2018年9月24日 5時