2 ページ12
『お前、いつまで笑ってる』
『だって先生、お粥も作れないとか…ふふ』
仕事は細かい方だと自負している。オペだってミスなくこなしているのに。
料理とか掃除とか、家事の類が全くの壊滅状態。
こんなことは今までの彼女だとかに教えたこともないのに。
なんでかこいつには、知っていてほしいと思った。
『おら、もう寝ろ』
『ふふ、はぁい』
まだ少し熱があるらしいこいつは、顔を赤くして大人しく布団へ潜り込む。
キスの一つでもしてやりたいが、風邪が伝染るのはごめんだ。
『早く治せ。キスも出来ない』
『キッ…!もう!先生!』
あんなキスを散々俺としておいて、なにをそんなに照れることがあるのだろう。
本当にこいつは、俺を飽きさせない。
『もういい加減先に進みたいんだ。我慢も限界』
『さ、きって…?』
分かっているのか分かっていないのか、無自覚に俺を見上げる瞳は、俺の理性をグラつかせる。
『そんな顔するな。今すぐ食いたくなる』
薄く開いた唇をそっと親指でなぞる。
『先生の、えっち…』
『なにを今更』
俺からしてみれば、あんな声で俺を誘うお前の方が、よっぽどえろいよ。
なんとか理性を総動員させて玄関のドアを閉めた。
あいつが倒れた時は血の気が引いたがただの風邪で良かった。
すぐに支えてやれる場所にいた自分を褒めてやりたい。
仕事中のあいつが見たくて病棟に居たなんて口が裂けても言えないが。
『あの、こんばんは』
『こんばんは』
『あなた、大ちゃんのお知り合い?』
『はい、職場の者です』
突然話しかけてきたのは人の良さそうなおばさん。あいつのことを大ちゃん、と呼んでいるあたり俺よりも親しそうだ。
『ちょっと今日の朝大ちゃんに言いそびれちゃったんだけど、大ちゃん今なにしてるかしら』
『彼、体調悪くして寝てますよ』
『あらそうなの?心配だわ…でもちょっとだけ急ぎでね…』
『私で良ければ伝えておきます』
『そう?じゃあ申し訳ないけど頼むわね。実は…』
邪な気持ちが芽生えたのは、俺だからじゃない。きっと誰でもこんな気持ちになるだろう。
331人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょぼん(プロフ) - 更新待ってました!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月15日 10時) (レス) id: 80f9088859 (このIDを非表示/違反報告)
いわし - これからの展開が気になります!!ぜひ、更新してほしいです!! (2019年3月1日 7時) (レス) id: 868e16e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - やぶあり、やっぱり大好きです!これからも頑張ってください!続き楽しみにしてます! (2018年11月2日 6時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 次のお話はどんな感じ何でしょう!とても楽しみです! (2018年10月4日 18時) (レス) id: 1ac15466af (このIDを非表示/違反報告)
ney-ko(プロフ) - 凛さん» 凛さん、いつもありがとうございます!ありさんをひたすら愛でる薮さん、お楽しみください\(^o^)/ (2018年10月1日 19時) (レス) id: 279b6160ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ney-ko | 作成日時:2018年9月24日 5時