緑色 ページ49
大ちゃんにマネが俺と裕翔の身体が好きだって聞いて、あれじゃあこの前のはマネにとっては最高の状況だったってこと?となった。
「愛でる対象です」
『え、それって見るだけってこと?』
「もちろんです」
『なんだぁ…』
「何をがっかりしてるんですか」
お遊びでそんなことをするつもりはなかったけれど、恋人という関係でない以上、これはただのお遊びだ。
結局あの日のシャワー室でもそんなことをする気にはなれなくて。
俺はただじゃれ合うイチャイチャする相手が欲しいだけなのだと思う。
『けいとって、呼んでくれる?』
「はい。けいと」
マネの穏やかな顔は、最初に話した時と全く変わらない。
『やまちゃんはまず見た目で誤解されがちなの』
「けいともね」
『え?…ちぃちゃんは1番小さいのに1番強いんだよ』
「確かに」
『裕翔は真面目すぎ。マネと一緒』
「1番イタズラ小僧ですけどね」
『大ちゃんは俺が何してもノッてくれる』
「精神年齢同じくらいですよね」
『逆に雄也は俺が何してもノッてくれない』
「それ話しかけるタイミングが悪いんですよ」
『いのちゃんはなんだかんだ優しい』
「それは分かるような気がします」
『光くんはいつも俺のことを気にしてくれてる』
「お兄ちゃんになりきれてない気もしますが」
『薮くんは必ず頭撫でてくれるの』
「あの人誰にでもくっつきますよね」
『で、何が言いたいかって言うとね』
あんなことしたのもきっとみんな理由があって。
マネが体調悪いことも絶対みんな気付いてたし。
マネが嫌じゃなかったって言ってくれたからみんな安心したと思うの。
マネが誰を選んだとしても俺は文句言わないし。というか誰も言わないと思う。
誰を選んでも後悔しないと思うよ、だってみんな素敵だから。みんなちゃんと幸せにしてくれる。
だから、だからね
誰のことも、嫌わないで欲しいの
「何の話ですか」
『いっぱい喋ったらまとまらなくなっちゃった』
真顔で話すマネは本当に意味が分からないよう。だって俺も分からないんだから当然だ。
「選ぶとか嫌うとか、私にそんな権利はありません」
『自由に恋愛する権利は、あるでしょ?』
「…私が恋愛していないと誰かが言いましたか?」
『え?!してるの?!』
「人並みには」
『本当に?!誰?!誰が好きなの?!』
「プライベートです」
マネの言葉に踊らされていただけだったと気付くのは、もっとずっと後。
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作者名:ney-ko | 作成日時:2018年5月29日 1時