9色のtiepin (ページ4)

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黄色ページ4

『お、と。はよーございます』

「おはようございます。早いですね」

『マネージャーも早いんだな』

「さすがに番組のことまで分からないので、スタジオ作ってるとこ見てきました」

『そっか』

楽屋の隅っこでパソコンを開いているマネージャーは、昨日と同じようにスーツにネクタイ姿。

彼女の纏う不思議な雰囲気が、俺の好奇心をくすぐる。

でも俺はそれ以上特に何を話すわけでもなく、いつも通りソファに丸くなった。

すぐに掛けられたブランケットからは、良い匂いしかしなかった。

「やおとめさん、起きますよ、」

『別にいいよ』

「やぶさんがいいならいいですけど…」

だんだん浮上してくる意識の中に入ってきたのは、薮とマネージャーの声。

薮早いな、なんて思ったけど、それよりもぴちゃりと聞こえる水音と2人の息遣いの方が気になった。

「や、ぶさ、さすがに…皆さんきますっ」

『チッ…』

「外では絶対に舌打ちなんてしないでくださいね」

そうだぞ、薮。なんて呑気な頭にはならなかった。

今の、なに

見てはいけないものを見てしまった気分だ。

『光、おはよう』

『おはよ…薮』

「おはようございます。これ、頂きますね」

『ん、ありがと…』

俺に掛かったブランケットを外していったマネージャーも、隣に座って本を読む薮も、何らいつもと変わらない。

あれは、夢だったのか？

マネージャーの青く光るタイピンだけが、鮮明に頭に残った。