弟たちの見解 ページ16
『キャサリン…キャサリンて…』
『ゆうと、笑いすぎ』
腹を抱えて笑っているゆうとのことも言えないほど、俺も腹ん中で笑えているけれど。
それよりも先輩たちのマネージャーも経験していたとなると、ますますマネージャーの謎は深まるばかり。
俺としているようなことを、先輩たちともしてきたんだろうか。
そしてその関係はまだ続いているのだろうか。
もし嵐さんだけじゃないとしたら。
『何怖い顔してんの』
『侑李はなんとも思わねぇの』
『べっつにー』
本当になんとも思っていなさそうな侑李は、携帯ゲームをしながらぽそりと呟いた。
『でも…大野くんに頭撫でられて嬉しそうだったのは、ちょっと意外だった』
『ちぃちゃんも大野くんに頭撫でられると嬉しそうだよ』
『それとこれとは別モンだろーが』
そう、そこだ。確かに俺たちはまだ日が浅い。でも何年マネージャーやっていたかは知らないが、随分懐いて距離も近く感じた。
そう見えたの俺だけじゃないみたいだ。
『マネージャーって呼べって言ったのは、自分なのに』
名前を付けてもらえて嬉しいか?まるでペットだ。
裏にこんな歪な関係があったとしても、俺たちアイドルとイチマネージャー。
今の俺たちの距離は、開きすぎている。
それを埋めるのは俺たちだと、分かってはいるけれど。
「山田さん、少しいいですか」
『あぁ、なに』
「この日の収録なんですけど…」
一つのタブレットを覗くために自然と近くなる距離。そこに今さら感じることは何も無い。
ただ、ふわりと香った覚えのある匂いは。
『…薮ちゃん?』
「はい?」
『いや、なんでも』
まてまて。俺たち違う楽屋に入ったのついさっきだぞ。正確に時計なんか見ちゃいないけど、30分は経っていないはず。
髪も服も1寸の乱れも見付けられない。ただ近くにいるだけでこんなに匂いが移るものか?
「…ん?、山田さんっ?」
『あ、なに?』
「体調悪いですか?」
『悪くないよ。なんで?』
「私今何日の話してました?」
『え、来週の話でしょ?』
「…知念さん、今日は解散にしましょう。薮さんたちには伝えておきます」
『りょうかーい』
「では山田さん、また明日、詳しいことはお伝えします」
そう言って楽屋を出ていったマネージャー。
『え、なんで?』
『やま、バカだねぇ…』
『ほんと』
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作者名:ney-ko | 作成日時:2018年5月29日 1時