9色のtiepin (ページ2)

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黄緑色ページ2

『名前も教えないって、どゆこと？』

「マネージャー業に実名が必要ないからです」

『辞める時に不都合？』

「この仕事を辞めるつもりは今のところありませんが、グループが替わることはあるので」

俺の質問に無表情で淡々と答えるマネージャーを不思議に思ったが、こいつを気にするほど俺は暇じゃない。

『ふぅん。ま、よろしくな』

「よろしくお願いします」

丁寧に頭を下げたマネージャーの一つに結ばれた髪を引っ張る。

『ちったぁ愛想良くしろよ』

「それをお望みであれば」

抑揚のない声は自分を見下されているような気持ちにさせて、苛立つ。

『ほんとに要望叶えてくれんだな？』

「はい」

俺が言ったからなのか、少し微笑んで返事をするマネージャー。それがまた俺を苛立たせた。

なぜか女のくせに結ばれたネクタイを引っ張ると、出てきたのは黄緑色の石が埋め込まれたタイピン。

『これは…』

なぜかそれに目が奪われてしまい、指でなぞる。

でもそれはほんの一瞬で、俺はマネージャーのシャツのボタンを左右に引きちぎった。

それでも顔色一つ変えないこいつは頭おかしいんじゃないかと思った。

『嫌じゃねぇのか』

「無理矢理がお好みですか？」

下着も丸見えの状態で恥じらいもしないこいつは、一体何を考えてる。

『ここでやっても、文句言わねぇんだな』

「薮さんのしたいようにしてください。私はそれに従います」

その言葉を聞いてなぜか安心した俺は、マネージャーに手を伸ばし唇を重ねた。

久しぶりに女に触れたその感覚は、癖になるほど柔らかくて極上だった。

『…そんな顔も出来んだな』

俺の腕の中で蕩けた顔をするマネージャーは、しっかり女だった。

スーツの上からじゃ分からない豊満な胸に顔を埋める。この柔らかさ、癖んなる。

「ん、ふ…」

耳に入ってくるのは予想していたよりも甘い声。

俺の頭を抱えるように回された腕は俺が与える刺激に合わせて力が篭っていく。

そうか、措置ってそういうこと。

『俺の好みに出来上がってんの？』

「やぶさんだけ、なわけじゃないです…」

この細腰に俺ら9人分の欲を受け止められるとは、この時は思っていなかった。