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大貴を妊娠した行為は、今でも鮮明に思い出せる。

おそらく長い付き合いの中で、俺が原因で初めて深雪さんを泣かせて、傷付けた。

あれはほんとに、離婚の危機だった。

俺は一番やっちゃいけないことをして、挙げ句深雪さんを責めた。

深雪さんは離婚を本気で考えたけど、子どもの顔を見たら出来なかったと、後になって教えてくれた。

本気で嫌がる深雪さんを無理矢理抱いて、その時にできたのが大貴だった。

だから大貴がお腹の中で暴れるのは、俺のせいだと思ってる。

不安定な状態で宿った生命は、俺が思っていたよりも危険な状態だったらしい。






「いっ、たぁ〜!」

光『まぁま、いたい?』

「ありがとーひかるくん。大ちゃん、いっぱい蹴るねぇ」

大きく膨らんだお腹をさする深雪さんは、痛そうにしながらも慈愛に満ちた表情。

その隣に座る光は誰に似たのかとっても優しくて、深雪さんが痛そうにする度にお腹を撫でに行く。

雄也は相変わらず慧にべったり。

まだ右も左も分からない慧について歩くから、慧に鬱陶しがられてペシペシと叩かれている。

それでもキャッキャして慧に抱きつく雄也はMなんじゃないかと心配してる。

平和なこの光景に、幸せだなぁと毎日感じていた。

それなのに。

「逆子だって」

薮『逆子って、帝王切開になるんだっけ?』

「ん、そう」

28週くらいでは逆子になったり治ったり、それは光たちもあったけれど。

今は既に34週。もうすぐ臨月になりそうな時に逆子なんて、治らないかもしれない。

薮『手術、いや?』

「この子を安全に産むためには仕方ない、とは思ってる。無理して辛いのはこの子だから」

ぐにぐにと動いているのはそっと手を当てるだけで感じる。

女の人は、強いよな。

自分だけじゃなくて、もう1人生命を背負って生活するなんて。

臨月になれば胎動は減ると言われているけれど、大貴には全くその兆候は見られなかった。

そして何故か、上3人の時には全くなかった深雪さんの苦痛な表情。

「腰、と足の付け根が、痛い…」

歩く度に足が痛んで座り込んでしまうことすらある。

医者が言うにはお腹の子が少し大きいのだとか。

それでも大丈夫、と言って笑う深雪さんをどう支えていいのか俺には分からなかった。

とにかく傍に居て、隣でお腹をさすって、後ろから抱き締めて眠る。

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優子 - 読みました。光君大丈夫かな?これからどうなるか?気になります。 (2017年8月23日 23時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。これからどうなるか?気になります。 (2017年8月21日 17時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2017年8月21日 4時

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