検索窓
今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:68,097 hit

13 ページ13

光『なんで俺まだ学校行っちゃダメなの?』

「んー、けいくんの許可がおりないから」

光『なんで慧の許可が欲しいんだよ』

ワケわかんねぇ。母さんは時々こうして俺が理解できないことを言ってくる。

外野の俺から見ると慧が一方的に母さんに近付いているように見えるけど、実は違う。

母さんは慧のことを全面的に信用している。

特に俺のことが絡むと余計に。

俺と慧は双子じゃないのに、身長も一緒。体重も一緒。

顔は全然似てないはずなのに一緒にいて同じ苗字なだけでみんなが双子と間違える。

それは兄の俺からすれば全然嬉しくないんだけど。

でもそれを嫌だと思う反抗期もとっくに過ぎ去って、今やそんなことはどうでもいい。

問題は慧が俺のことを理解しすぎていること。

しかし慧の場合は俺に限ったことじゃない。

きっと雄也も大ちゃんも、裕翔も圭人も、涼介も侑李も。もしかしたら父さんと母さんも。

慧ってエスパーなんじゃないかって思うことがあるはずだ。

他人の心の変化に敏感な慧は、俺が体調を崩すと必ず最初に気付く。

ただ普通の人よりちょっと貧血になりやすい俺は、滅多なことでは体調を崩さない。というより体調を崩しても周りには言わない。

俺が言わなければ誰も気付かないんだ。

それなのに慧は。鉄剤を俺に渡して休め、の一言。

その慧のお陰で最近は酷く貧血になることもなかったのだけど。

とにかく、慧は俺よりも雄也や大ちゃんと仲がいいはずなのに俺のことを理解しすぎている。

俺は、慧のことなんにも分からないのに。

「ねぇ光くん」

『なに?』

「光くんも、慧くんのことよく分かってると思う」

母さんと2人で料理をするのが好きだ。

『なんで?』

母さんを独占出来るような気がするから。

「光くんが決めたメニューの日はね、慧くんすっごく喜んでご飯食べるの」

時々ここに涼介も混ざるけど。

「きっと食べたいメニューだったんだなって」

父さんは絶対にここには立てないから。

「あと慧くんのお夜食も。光くんがいつも作ってあげてるの知ってるよ」

俺と母さんの、2人だけの空間。

「大丈夫。慧くんにも薮くんにも言わないから」

2人だけの時間。

「でも慧くんは気付いてると思うな」

『やっぱり慧の方が上手かよ…』

そう思いながらも、自然と口角が上がってしまうのは仕方ない。

「私料理嫌いだもん」

そう言いながらも母さんはいつも楽しそうに料理をする。

『今日は慧、何食べたいかな』

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

優子 - 読みました。光君大丈夫かな?これからどうなるか?気になります。 (2017年8月23日 23時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。これからどうなるか?気になります。 (2017年8月21日 17時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2017年8月21日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。