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それ以来、父さん母さん、兄弟たちの目を盗んでキスをしてくるようになり。
週に一回は風呂で白いのを出す練習。
それを数年、俺はおかしいと思いながらも強く拒否してこなかった。
いや、出来なかったんだ。
『光くんに言っちゃうよ?』とか脅してくるし
『俺の前で自分で出来たら』なんて無茶な要求をしてくるし
俺には拒否権がなかった。
だって最初は俺が自分から頼んでしまったんだ。悪魔のようなあいつに。
『慧、大丈夫だよ』
そして雄也は必ず最後にそう言って俺の頭を撫でる。
それが強く拒否できない一番の原因だなんて、認めたくない。
あともう一つ、最近気付いたことがある。
雄也が俺にそういうことをしてくる時は、俺が寂しい時だということ。
父さんがいない時。母さんがいない時。光になにかあった時。
本当は年上の俺たちがしっかりしなきゃいけない時に、そんなことしている場合じゃないんだけど。
家が平和でなんの悩みもない時は、光が居てくれたら安心なんだけど。
俺の心が折れそうな時、俺が必要としてるのは気付けば雄也になっていた。
『ん、ゆーや?』
目が覚めた時に、雄也はいない。
それは今に始まったことではなくて、俺が朝起きて雄也の顔を一番に見たことは、おそらく一度もない。
それが少し虚しい、なんて。気のせいだ。
でも昨日雄也に言われた通り、頭がスッキリしている気がする。
あとは光の体調が万全になるのを待つだけだ。
『母さん、おはよ』
「おはようけいくん。早いねー」
俺が一番好きなのは母さん。
それはずっと変わらない。
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優子 - 読みました。光君大丈夫かな?これからどうなるか?気になります。 (2017年8月23日 23時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 読みました。これからどうなるか?気になります。 (2017年8月21日 17時) (レス) id: baaab4d872 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年8月21日 4時