オウジサマトオヒメサマノコイ【オリジナルNL】

出会い　ベランダ ページ4

六年生になって、みんなはどこの中学に行くかの話でもちきりだった。近くの中学に行くといった子もいれば、超有名難関私立中を受験するといってた子もいた。都立に行きたいと言ってた子も、決まってない子もいた。私は、近くの中学校に行くと最初から決まっていた。

なぜかというと、近くの中学は半年に一回の舞踏会がある一風変わったなかなかない学校で、そこに行けばダンスの練習ができるのだ。ダンスの練習はお姫様にとってものすごく大事なことで、ダンスができないとおうじさまに恥をかかせてしまう。私はおうじさまとダンスを踊るためにも、近くの中学校に行くことが必要不可欠だった。
静稀ちゃんも

「私も近くの中学校だよ、受験はしない。」

と話してくれた。應治くんも、

「俺も同じ中学に行こうと思う」

と言っていた。

だから私は、中学生活がとても楽しみだった。

その夜のことだった。
私は、毎日夜、ベランダでおうじさまに話しかけるのがルーティーンだった。


「ねえおうじさま、私があの中学に行けば、一緒にダンスできるのよ。結婚式の日に、いっしょに踊りましょう？私、とっびきり豪華なウエディングドレスを着て、すごくかわいくおめかしするわ！」


「……うん！踊ろう！」


おうじさまから返事が返ってきたのだ。妄想や幻聴なんかじゃない、本当に聞こえてきたのだ。声を聴くのは初めてだった。少し低いハスキーボイスはとてもかっこよく、私はさらにおうじさまに恋をした。

「約束よ！」

「ああ、約束！」

夢のような気分だった。おうじさまが私に話しかけてくれたのだ。
それ以来話しかけられることはなかった。
ただ、それでもおうじさまとおひめさまになる前に話せたのは、とても嬉しかった。
もう一度声をききたいな、そう思って毎晩話しかけた。
きっとあれは神様が与えてくれた奇跡だった。
その奇跡がもう一度を起こるのを私は夢見ている。
もちろん今も。


その次の日、應治くんが少しおかしかったのは今でも印象に残っていた。
かれは頬が赤く、少し膨れていたが、昨日の二倍元気だったのだ。
何で元気だったんだろう、気になって後に聞いてみたら、その日はゲームを買う約束をしていたらしい。どうにも彼らしいなと思った。けど、その元気さは私をも明るくしてくれてるのかもしれない、そう思って私はありがとう、と言った。かれはニコっと笑った。笑顔は素敵だったが、おうじさまの笑顔のほうが素敵だと思った。



そして私は今から中学生になる。

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