オウジサマトオヒメサマノコイ【オリジナルNL】

出会い　おうじさま ページ2

学校のせいで深く閉じこもってしまった私を心配した父母は、一年生になって始めての誕生日パーティーでは、盛大にお祝いしてくれた。
もともと人より少し裕福だった我が家は、遊びの様々な面でお金を使ってくれた。この誕生日パーティーも例外ではなく、なんとシンデレラとそっくりのドレスを買ってくれた。
子供用のＳではなく大人用のＳを買ってしまったため、着ると小柄な私はだいぶだぼだぼだったが、それでも自分がお姫様になれた気がしてうれしかった。


その日の夜、私は、運命的な出会いが訪れた。


父が、王子様のフランス人形を買ってプレゼントしてくれた。
青く綺麗な絹の王子服を身にまとい、偽物だが一見本物に見えてしまうほど豪華な宝石がついた冠を頭にのせ、綺麗なエメラルド色の目、星のように煌めく金髪をまとったその人形は、見るたびにため息が出るほどの作りで、子供用とは思えない。
私は、その人形に一目で恋に落ちた。

「私の王子様はあなただったのね！迎えに来てくれてありがとう！」

誕生日ケーキのろうそくに照らされる中、私は人形にそう一言を交わし、ちゅ、とファーストキスをささげた。にんぎょうの頬が赤く染まっているように見えたのは、私と心がつながっているから、きっとろうそくの明かりなんかじゃないはずだ。


最高の夜だった。
今振り返っても、あれほどロマンチックな夜はなかなかにない。
シェイクスピアなんかよりも、甘いひと時だったと思う。



その人形には、チャーミーというあまり王子らしからぬ名前を付けた。ディズニーでは、王子の名前はプリンス・チャーミングというため、それにちなんだ名前にしたかったのだ。だが、チャーミー王子とはいっても、チャーミーと呼び捨てにすることはなく、私は基本的におうじさまとよんでいた。

おうじさまとはいっつも一緒だった。
ねるときも、ごはんを食べるときも、出かけるときも。
おうじさまと一緒にいれば、どこでも私にとって素晴らしい場所だった。
特に、ふたりっきりで布団にもぐると、すごく幸せな気分だった。
おうじさまと一緒にいたい。そう願うようになった。

クリスマスに、冠のバッジを二つ、買ってもらった。
一つはおうじさまの胸につけた。もう一つは自分の胸に付けた。
色違いの冠は、それぞれの胸できらりときらめいた。
私はおうじさまの冠バッジにも、すこしだけキスをしたのはおうじさまにも秘密。
知ったらきっと嫉妬してしまうから。

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