ピアノ (ページ8)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:11,808 hit

８ページ8

ユンギは空を見つめたままだった。

私は驚きのあまりユンギの横顔をただ見つめるしかできなかった。

どのくらいそうしてたのか…

YG『驚いたよな笑。俺さ、ソウル行って自分試してくる。』

「…………」

YG『泣くなよ、Aが泣いたら俺の決意が揺らぐじゃん』

泣いてるつもりはなかったけど、自然と涙が流れてたみたいで、困った顔をしたユンギが涙をそっと拭ってくれた。

でも一度流れた涙は止まらなくて、気づいたら目の前にユンギの胸があって、抱きしめられていた。

「いやだ、ユンギと離れるのいや、いや、行かないで………」

こんなこと言ってもユンギを困らせるだけってわかってたけど、あまりにも予想外のユンギの言葉に混乱していたのかもしれない。

ユンギの胸を叩きながら何度も行かないでと訴えた。

その度、強く抱きしめられ何も言わないユンギ。

まさか、こんなことになるなんて、本当に予想してなかった。
うちの中学校はほとんどが同じ町の高校に進学する。もちろん私もそのつもりだし、ユンギもそうだと勝手に思い込んでいた。

これから先もユンギと一緒に、この町で今と変わらず過ごしていけると思ってた。

このタイミングで、ユンギと離ればなれになるなんて、無理だと思った。

それだけ、私の中のユンギの存在がとても大きくなっていることに改めて気づいてしまったのだ。

私が落ち着くまで、ずっと抱きしめて背中をさすってくれるユンギ。

『Aも行くか？一緒に…？』