ピアノ (ページ1)

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2017年、2月7日。

『卒業おめでとーー』

『おめでとう～』

そう、今日は私の勤めるここ

ソウル公演芸術高等学校の卒業式。

私は去年、生まれ育った大邱の音楽大学を卒業して、ここでピアノの教師として働いている。

小さな頃からピアノが友だちのような環境で育ち、今は音楽家や歌手などを夢見る高校生たちにピアノを教える毎日…

初めての知らない土地、ましてや大都会でひとりは心細い面も多いけど、生徒たちと歳が近いこともあってみんな親しんでくれるから、毎日楽しく過ごしている。

そして、今日が教師として迎える初めての卒業式。

グレーのジャケットにタイトスカート、ボブの髪をいつもより念入りにブローしてきた。

『A先生～～～～～！！』

と、卒業式の待機中の生徒たちが集まってきた。

『A先生～今日が最後とか寂しすぎるよー』

『明日からはAオンニって呼んでいい？』

『また遊びにくるから！』

『先生今日きれい～』

この1年受け持った可愛い子たちと最後の日と思うと…もう、朝から涙腺がやばい…

「先生も寂しいよー…みんな、立派な大人になるんよーー涙」

と生徒たちと喋ってると…

『キャァァーーー！！！』

と校舎の外から黄色い声が聞こえた。

ここは芸能事務所の練習生や、既にデビューしてアイドルとして活躍してる子も多いから、こんなのは日常茶飯事なんだけど…

なんか今日は一際すごいな～

ふと窓から黄色い声を探せば…

黒いバンから出てくる金髪の生徒…

『あっ！！ジョングクくんだ！！』

そう、只今うちの学校でおそらく1番有名で大忙しな生徒。防弾少年団のチョンジョングクだった。

『ジョングクくん、金髪になってるーかっこいい～』

『卒業式出れるんだー』

生徒たちからも絶大な人気なのだ。