くだらない カゲプロ ページ9
.
何年前だろうか?私が生まれたのは。
いや、あれは生まれたというより存在していたと言ったほうが正しい。
気づいたら暗闇の中にアザミと二人。アザミとは姉妹のようなものだった。
一緒に旅をし、一緒に存在の意味を探した。
だが、アザミが人間に恋をしたと聞いたとき、私は反対した。
今まで人間から味わった苦痛を忘れたのか?人間の身勝手さを忘れたのか?それに人間は寿命が短い。せいぜいもっても100年ぐらいだ。そんな汚い下等生物はやめておけ。
そう言うと、あいつは凄い形相で私を見た。そこからだろう。私達が別々に生きることになったのは。
アザミは子供を産み、人間の脆さを知り、独り閉じこもった。だから言ったのに。人間と関わるな、と。
『愚かなものだな。人間も、化物も』
「おやぁ?貴女はそんな自傷的でしたっけ?主様よぉ」
小さく呟いたのが聞こえたのか、冴えるは皮肉に顔を歪めた。クツクツと馬鹿にするような笑いが気に入らない。
『ふん、昔を思い出しただけだ。あと、いい加減その主と言うのはやめないか。いくらアザミが消えたからって私をその代わりにするな』
無表情でそう言い放つ私に、冴えるはさらに顔を歪めた。
「いやぁ、そういう気分だったんだよ。Aも気まぐれな男は嫌いじゃあないだろ?」
そう言い、体育座りをしている私を後ろからきつく抱きしめる冴える。
深く溜め息を吐いて目の前に広がる画面を見た。
「何回も繰り返していることにも気づかないでのんきなもんだなぁ?」
『それも仕方ないだろう。記憶が無いんだから』
「だからいんだよ。絶望した顔を見れるんだから」
『趣味が悪い』
ニヤニヤと笑う冴えるの腕を振り払い、立ち上がる。
さて、もうそろそろかな。
『ほら、お前も立て。これから×××回目の夏を終わらせにいくんだろう?』
「そして次の夏を始まらせる」
ニヤッと笑うそいつを尻目に私はまたもや呆れる。
何回も何回も同じ光景を見て、飽きないのだろうか。少なくとも、私はもう飽きた。
それに…あいつらも気づけばいいのに。早くこんなくだらない茶番を終わらせてくれ。くだらないくだらない。くだらなすぎて死にそうだ。
(そうしてまた茶番が始まる)
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←殺人鬼の友達作り 目高→戯言
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぼるぼっくす | 作成日時:2014年5月25日 17時