両思い ページ13
『安室さん、出来ましたよ』
降「……」
『安室さん?』
降「……」
『どうしたんですか?安室さん』
降「な……よ…い……れ」
『え?』
降「その名前で呼ばないでくれ」
そう言った声はすごく弱々しかった。
どうしたのかと思い、安室さんの顔を覗き込むと、いまにも泣きそうな顔をしていた。
『えっ?どうしたんですか?』
降「その名前を言われれば言われるほど、
俺が俺じゃなくなるみたいで、すごく怖いんだ。
その上、降谷零としての俺を知ってる人にまでその名前で言われると、
本当の俺が消し飛びそうになるんだ」
『大丈夫』
私は出来るだけ安心させるように、優しくでもしっかりと抱きしめた。
『大丈夫。誰がなんと言おうと、あなたは降谷零。
それ以外の何者でもない。その事実は絶対に変わらない。
それに…私は‘降谷零’が好きだから』
降「えっ、それって」
『///告白のつもり、だけど?』
降「///俺も」
『俺も何?』
私はニヤニヤしながら聞く。でもさ、そういうのはちゃんと聞きたいじゃない。
降「///お、俺もAのことが好きだ。だから、俺と付き合ってくれ」
まさかそこまで言ってくれるとは思ってなかった。すごい、嬉しい。
『///ありがとう。改めてこれからよろしく』
降「///あぁ、よろしく」
『そうだ、よかったら、今日は家に泊まって行ったら?』
降「///えっ」
『あ、嫌だったらいいんだけど』
降「///嫌なわけない」
『?そう、なら良かった。じゃあ、早くご飯食べよ。冷めちゃうよ』
降「そうだな」
降「『いただきます』」
『どう?おいしい?』
降「あぁ、うまい。Aは料理がうまいんだな」
『ありがと。ん、今日は結構いい感じ』
降「そういうの聞くと、俺が毒味したみたいな感じじゃないか」
『そういうわけじゃないって』
降「冗談だ。それにしてもこれ、うまいな」
『それなら良かった』
『こうやって2人きりだと、なんか付き合ってるって感じでいいよね』
降「///変なこと言うな!」
『だってそうでしょ』
降「///そう、だけど」
『アハハ、零照れてる。可愛い』
降「///可愛いって言うな!」
『ごめんごめん。でも、顔赤くしながら行っても説得力ないよ』
降「フンッ」
あらら、拗ねて顔そらしちゃった。
『大好きだよ、零』
チュッ
降「なっ!」
『あれ?嫌だった?ごめん』
そりゃ、断りもなくやった私が悪いんだけど、
あれでも一応初めてだったんだけどな。なんか、悲しい。
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆい | 作成日時:2018年1月10日 16時