XXXIV ページ34
「それは……私がこの世界のことを知っていたから」
「この世界のことを知っていた？それどういうことなの？」
私はかごめに私の前世ではこの世界が漫画やアニメになっていたことを説明した。すると、かごめはとても驚いたようだったが、妙に納得していた。ちなみにそれを扉の前で盗み聞きしていた私の家族達も同様だ。
「だから、私はかごめ達のことをずっと前から知っていた。それに、私はかごめの姉ならもしかしたら私も戦国時代に行けるかもしれないし、もし私が行けなくてもかごめにこの技術を仕込めばきっとかごめの役にも立つだろうと思ったんだ。まあ、結局かごめには何も教えられてないけどね」
「ねえ、お姉ちゃん」
「ん？なあに？」
「私にもその技術、教えてくれない？私は高校があるから勉強の合間になると思うけど」
「もちろん。もともとそのつもりだったからね」
私はかごめの要求に喜んで応じた。そして、かごめは高校の勉強の合間に私からいろいろな技術を教わり、私はというと、戦国時代で生活するため、あそこの世界で暮らすのに最低限の知識と技術を身につけ、それと同時にこの発展した世界の技術の中でもあちらの世界でも使える技術をひたすら身につけていった。
そして、さらに月日は経ち、3年が過ぎた。かごめは高校を無事卒業。私も学びたいことは学び尽くし、身につけたいものも全て身につけ、私はもうこの時代を生き尽くした。そう思っていると、かごめが井戸の方へ向かうのが見えたため私も急いで向かうと、井戸の向こうには空が見えた。500年前の空が……
「ママ……私……」
「いいのよ、それで……叶夢は？」
「私も行くよ。私はそのために今まで知識や技術を必死になって身につけてきた。もうこの世界に後悔はないよ。ただ……一つ後悔があるとすればせっかく出会うことのできた家族にもう会えないことかな。お母さん、私をこの世界に産んでくれてありがとう」
ちょっと長々となってしまったけど、私はかごめとともに井戸へと飛び込む。
眩しい光で目を閉じ、再び目を開けるとそこにはかごめはいなかった。そして、少し不安になりつつも井戸を登ると、そこは3年ぶりの景色だった。3年前と何も変わらない風景。やっと、やっと戻ってくることができたんだ。
「殺生丸に……殺生丸に会いたいな」
私はボソリとそう呟くと、目の前の茂みからガサガサと音がした。
「殺生丸！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピス - 面白かったです｡早く続きを見たいです｡ (5月6日 12時) (
レス) id: 55e7b9ecf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆい | 作成日時：2019年2月9日 8時
