File_02 異世界フレンド ページ5
あぁ、神様。神様は私をまだ突き放していなかった。
私は目の前に座る綺麗な彼を見ながら感謝をする。
「改めまして、ユウと言います!これからよろしくお願いします!」
元気な声で挨拶をしているのは、今日の入学式で注目を浴びていたユウくん。
この挨拶は本日二度目。最初顔を合わせた時に一回。そして先程の一回。
まぁ、ほんとに最初は掃除やらなんやらに追われてろくに話が出来なかったから、こういう風に話が出来るのは嬉しい。
ちなみにこの子、魔力が無くNRCに入学は出来ないらしい。でも帰ろうにも帰れない。最終的には雑用係としてこのオンボロ寮にて暮らすことになってしまった子。
それを知った私の第一声が「鏡のメンテナンスしろよ」だったことは誰も知らないだろう。
だって手違い多すぎでは??私は女なのに連れてこられた。そして彼も手違いで連れてこられた。しかも異世界から、だなんて笑えない。
「どうしましたか……?」
こうして頭の中では喋っているものの、実際には一言も発しない私を彼は不思議に思ったらしい。心配そうにして私の顔色を伺う。
「あ、あぁ。何もないですよ」
「それなら良かった……です」
ほっ、と一息つく彼はとても可愛いと思う。
中性的な顔、声、そして優しい心を持つ彼。
こんなこと口に出したら大変なことになるから出来ないが、ぶっちゃけ彼は私の好みである。
出会い方が違ったら惚れてたかも、と思うほどに。
……こんなことを口に出したら大変なことになる気がするから、それを伝える日は一生こないだろう。
一息ついた私は改めて彼の方を向き、女であることを話した。こういうのは先に言っておいた方が良いと思ったからだった。
突然それを話された彼がどう思うかはわからないけど……
「私、実は男では無いんですよ」
「……そう、何ですか?」
「ここ、男子校なんだけどね」
「え」
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作者名:夢乃夢子 | 作成日時:2020年5月17日 15時