ペキニーズ ページ28
『仁坂A』
『…………』
「え、反応なしっすか」
「恥っず……」と恨めしい目で私を見つめる漣くん。
私はそんな彼に何も、言えなくて。
「あ、もしかしてカップのこと怒ってます？」
『……』
「いや、違うんすよ？ ただ二つセットで買うと安かったし、オレも欲しかったからAさんに片方もらってもらおって思って、」
『……』
「クリスマスだし、ちょうどいいかなと、思って……」
『……』
「まじで何か言ってくださいほんと怖ぇ」
漣くんに、見つめられて。
見つめられてたら。
「……！」
頬に熱が帯びる。頭がふわふわ、どこかに飛んでいきそうになる。
「……怒ってはないみたいすね。どっちかっつーと……喜んでます？」
『っ、ちかっ!?』
「はいっ、捕まえたー……ね、オレにどーしてほしいですか？」
私の首に腕を回して、漣くんはゆっくり額どうしをくっつける。
彼の息も鼓動も、全身を流れる熱も全て感じてしまう。
『ふ、不健全です、こんな……』
「オレから不健全なことするつもりはないですけど？ 何考えてんですかぁ？」
『〜っ、漣く』
「じゅーん。ジュンでしょ、Aさん。」
私が怒ってないと気づいて気を良くしたのか、さっき自分の熱を押し当てた私の頬に、つぅ、と指を伝わせる。
「Aさん、ぴくぴくしてる。」
『も、っやめ……』
「きもちぃすか？」
いたずらっ子のようにくすくす笑う漣くん。
顔が至近距離だし、くすぐったすぎて目をつぶっているので、そのご尊顔は拝めないのだが。
「クリスマスプレゼントってことで……Aさんください♪」
『いっ、え、なに、何して……っ』
「あ、顔そらさねぇで。」
ぎし、と身体の下で鳴ったソファの軋む音に、思わず目を開けておろつく。
優しく後頭部を支えつつ、漣くんの左手が私の背をがっちり捕まえた。
『っ……』
「……いいですか？」
親指でなぞられた、私のきゅっと引き結んだ唇。
ためらいながらもゆっくりまぶたを落とす。
____すごい、漣くんの息が聞こえる。
小さく鳴った喉の音とか、衣擦れの音とか。
少し沈んだソファの感触にさえ、溺れそうで。
「……」
『っ、ん、』
一度触れたあと、角度を変えた唇で甘噛みされる。
ちゅく、と吸いつく音がわざとらしく部屋に響いた。
一瞬だけ、息のしかたを忘れる。
「……んな顔されたら、止めれる自信ないんすけど。」
____蕩けて堕ちる。
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生しょうが(プロフ) - 錦さん» うわぁ、またまたそんな萎えるミスを……ご指摘ありがとうございます……！ (1月6日 17時) (
レス) id: 3da0e90f37 (このIDを非表示/違反報告)
錦(プロフ) - ページ22「バセンジー」に名前変換ミスらしき単語が…((ｺｿｯ (1月6日 13時) (レス) @page22 id: 7f2cf0d803 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - にとろさん» 小さな奇跡が……！解釈一致すごい嬉しいです！こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました！ (10月24日 23時) (レス) id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にとろ - 初コメ失礼します‼夢主ちゃんの誕生日と私の誕生日が同じで、ついマジかよってなりました。ジュンくん解釈一致で堪らなく好きです！最高な作品ありがとうございます😊 (10月13日 23時) (レス) @page2 id: 5c45186ae9 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 綾さん» うわぁぁ自分も大好きです！！！読んでいただけてめちゃくちゃ嬉しいです〜！きゅんきゅんできるような小説作れて良かったです……笑 (8月15日 16時) (レス) id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが | 作成日時：2023年4月4日 0時
