ダルメシアン ページ21
『漣ジュン』
「めい、わく……ですか?」
『……今の人、』
最初は、単なる勘違いかと思った。
よくある「兄妹」のパターンとかを期待した。
でも違う。中学の頃からって言ってた。兄妹じゃない。
血縁関係にない男女がいつも泊まりにくるっていうのはそういうことで。
だから、オレがしてたことは全部無駄だった。
まあ相手がまともな職についてない、とか。
カスミとかいう女の人も大事にしてる、とか。
そういうのは置いておいても、今までのことは全部無駄。
弄ばれてたとは思わない。
Aさんはいつだって、オレを完全に受け入れてくれていたわけではないじゃないか。
それはこの人への罪悪感みたいなのが、少なくともあったってことなんじゃないのか。
「ああ、えっとハヤトくんはちがくて。まず彼には恋人が……」
『Aさん遊ばれてるんですよね……』
「勝手に哀れな女にしないでいただきたい。」
『意味わかんねぇ、オレのが絶対幸せにできる!』
「は、はあ……?」
がたっと勢いよく立ち上がったオレに、Aさんは面食らう。
『でも、中学の頃からの付き合いなんでしょ……? オレは、あんたのその頃を……知らない。』
「ま、まあ付き合い始めたのは中学生の頃からだったかな?」
『っ、ああもう! もう言いますよ、言えばいいんでしょ!?』
未だに戸惑った顔をしているAさんの両手を包む。
風呂上がりの潤った彼女の肌は、いつも以上に煌めいて見えた。
『____好きです。あんたが、Aさんが好きです。』
今更感しかないが、Aさんは一瞬ぼーっとして、耳を紅く染めていく。
真っ直ぐ見つめるオレの視線から目を逸らすから、片手を頬に添えた。
『Aさんには幸せになってほしいです。だから、オレを……選んでくれなくたって良いから、』
「ジュン、く……」
『Aさんは、Aさんのことをいちばん好きな人と幸せになってください。』
あんな、他の女の人を見てるような奴じゃなくて。
もしAさんが想ってくれるのがオレだったら。
『オレ、は……あんたにしかこんな気持ち持てないです。』
貴女が、オレのことを考えてくれたら。
一生、隣で笑ってくれてたら。
これ以上の幸せはない。
『だから、ちょっとは、オレのことも……』
だめだ。
何でそんな、可愛い顔してオレを見るんですか。
『____好きになって。』
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生しょうが(プロフ) - 錦さん» うわぁ、またまたそんな萎えるミスを……ご指摘ありがとうございます……! (1月6日 17時) (レス) id: 3da0e90f37 (このIDを非表示/違反報告)
錦(プロフ) - ページ22「バセンジー」に名前変換ミスらしき単語が…((コソッ (1月6日 13時) (レス) @page22 id: 7f2cf0d803 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - にとろさん» 小さな奇跡が……!解釈一致すごい嬉しいです!こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (10月24日 23時) (レス) id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にとろ - 初コメ失礼します‼夢主ちゃんの誕生日と私の誕生日が同じで、ついマジかよってなりました。ジュンくん解釈一致で堪らなく好きです!最高な作品ありがとうございます😊 (10月13日 23時) (レス) @page2 id: 5c45186ae9 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 綾さん» うわぁぁ自分も大好きです!!!読んでいただけてめちゃくちゃ嬉しいです〜!きゅんきゅんできるような小説作れて良かったです……笑 (8月15日 16時) (レス) id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:生しょうが | 作成日時:2023年4月4日 0時