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絶対的強者《2→Ki》7 ページ35

「ちょっと、高嗣?」


不安そうなAがオレの腕を掴んだ、酔いなんて一気に冷めたし、Aの顔なんて、見られなかった。

みっともないけど、その先の言葉なんて出てこない。



「フフッ 大好きだな、Aのこと。」



ミツの声は、落ち着いてて、噛み付くオレを撫でるみたいに優しかった。


「悪い、意地悪した。ごめん。」


そう言って、テーブルに手をついて頭を下げるミツの姿に、惨めになるのはオレの方で、ギュッと握った拳を隠した。


「……高嗣、どうしたの?」


きっと、何もわかってないのは、Aだけ。

ミツの言葉は、全部、オレが察した関係を裏付けるもの。


「……なんでもない。ごめん。気分悪い。帰ろう。」

「え?……大丈夫?」


気分は、最悪。

最悪だ……、カッコ悪い。


「ごめんなさい。なんか……。」


Aが荷物を纏めて、ミツに謝る。

Aは、何も悪くない。
ミツだって、別に悪くない。


「いいって。」


ミツは、席を立たず、片手を上げてAを制した。
財布から一万円札を一枚、伝票の上に置いて立ち上がる。


「ニカ。」


口を開いたら、もっと酷いことを言ってしまいそうで、無言でミツを見た。




「羨ましいよ。……Aが彼女なんてさ。」




絶対的強者は、オレじゃなかった。




「オレのだから。」

「わかってるよ。バカか。」


オレたちに背中を向けて、靴を履くAに、聞こえたかは、わからない。


「いこう。」


『またね』も『サヨナラ』も言わせないまま、Aの手を引いて、店を出た。


「高嗣?」


夜が深まる街。

地下鉄への階段を降りるオレに、Aが心配そうな声で呼んだ。




「Aは、……オレの事が、好きだよね?」




こんな情けないオレのことも、年下彼氏のカワイイところだって思うのかな……。




「好きだよ。」




返ってきた答えに、足を止め、振り向くと、切なげな瞳のAに、胸が傷んだ。




誰にも渡さない。




多分、

今夜は、




もう、帰せない。




* end *

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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時

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