幸せを掴みとれ【童磨】

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「私、もともと恋仲だった人にふられたって言いましたよね。」

「そういえばそうだったね、それで俺のとこ来たもんね。」




Aちゃんは変な子だ。

鬼とわかっても俺が好きだなんて。

恐怖が勝つだろ、普通。




「私、大袈裟だとは自分でも思うけど、その時私は幸せになれないんだ、どうしてって何回も思った。辛かったけど周りの仲良い人たちにも心配かけちゃうから元気なふりした。」




やっぱりAちゃんはすごいよ。

俺の気持ちをあっさり変えてしまう。





「だから童磨さんに選んでもらえて。楽しい日を送って。かわいいって言って貰えて、ああ、これが幸せなんだ、私は幸せを掴んだって。」





俺、やっぱりこの子たべたくない。
傍においておきたい。いてほしい。




「私は幸せって思えました。童磨さんはどうでしたか？」

「俺は...。」

「私、がんばる。がんばります。童磨さんに幸せって思ってほしい。私と同じように幸せを掴んでほしい。...私の気持ち、鬱陶しいですか？」




そんなこと言われたことなかった。

今まで別に言い寄られることがなかったわけではない。
けど俺は人間を喰らう鬼だから。
相手が俺が鬼だと知ると逃げてた。

別に俺はそれに対して特に何も感じなかったけどそれが当たり前だと思ってた。




「嬉しいよ、初めて言われたしね。Aちゃん、俺が幸せ掴むためにこれからも一緒にいてくれる？」

「はい、私の願いなので！」



そう言ってAちゃんはようやく笑った。






...人とはこんなに美しいものなのか。

時が止まったように感じた。








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