ゆうがた ページ9
男は少し嬉しそうに笑った。
｢A様は、いつからか自分のことをアリスと呼ぶようになったんだ。その詳しい原因はわからないがきっと、女王様が関係している｣
女王様、ウェイトレスが言うにはアリスの、Aのお母さんのことのはず。母親ならば名前で呼ぶはずなのにと思っていると、顔に出ていたのか男は少し目を伏せて話を始めた。
｢二十年前女王様はある一人の男に惚れてな、男も簡単に結婚を受けいれたんだ｣
｢女王様は気性の荒く少しばかり我の強いお方だったが、結婚のおかげかしばらく国は安定していた。二年後には子宝にも恵まれ、つまりA様が産まれてさらに国は華やかにそして快方に向かっていった｣
｢しかし、A様の五歳の誕生日、男は他に好きな人がいると、元々お前のことは好きではなかったと、そう言って逃げたのさ。突然の事だったよ｣
｢さっきも言ったように、女王様は気性の荒いお方でな。それを許すわけなく、すぐさま見つけ出した男と相手の女の首を、自ら、はねたよ｣
自ら、と強調した男に背筋にぞわりとする。その女王様には、いくら憎んでいたからと言って大人二人を殺す力があるということ。
｢それから女王様はA様に依存するようになったんだ。そしてA様が自分のことをアリスと呼ぶようになったのもその時期だ｣
｢……依存？｣
｢ああ。A様が自分の元から離れることを許さなくなった。国の外なんて以ての外、本当ならば城の敷地内から出ることもいけないんだけれど……｣
｢女王様は夕方に目を覚ます。昼間は寝ているから、A様はその間に港の見えるこの道を散歩しているんだよ｣
アリスがいつも言う″お茶会″とは母親が起きることだったんだ。昨日一昨日と帰るときの少し暗い表情を思い出して胸が痛くなった。
｢いつも島に客人が来るのを街で待っているようだ。旅の話を聞くのが好きなんだと｣
｢きっと、憧れているんだ。生まれてからこの島に、女王様に囚われているあの子は一生ここから出られないからね｣
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あ(プロフ) - 早桃さん» ありがとうございます〜！最後までお付き合い頂きありがとうございました；； (2022年10月19日 10時) (
レス) id: fb59469920 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 完結おめでとうございます！！めちゃ面白かったですー！！！お疲れ様でした😊 (2022年10月18日 20時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます！最後までお付き合い頂きありがとうございました！！ (2022年10月17日 2時) (レス) id: e349160874 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 最高すぎる終わり方でしたお疲れさまでした (2022年10月16日 9時) (レス) @page25 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 桜葉さん» ひええありがとうございます〜〜；；魅力的だなんて……！！ (2022年10月13日 18時) (レス) id: 7957da95fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2022年10月10日 3時
