届かない ページ21
｢アリス！！！｣
｢A！！！｣
衝撃音と共にほぼ同時に呼ばれた名前。ドキリと心臓が跳ねて音のした方を見ると、お母様とルフィが同時にこちらに手を伸ばしている。痛む脇腹を庇いながら迷わずルフィの手を握ろうとすると、目に映ったのは悲願するような表情を浮かべるお母様。
｢ッあﾞ｣
あと少しで掴めるというところで、私の腕に一枚のトランプが突き刺さった。伸ばした手は空を切って、お母様に引き寄せられる。頭に乗っていた麦わら帽子が、はらりと風に乗って落ちた。気がついた頃にはお母様の腕の中で、ルフィやみんなはもう見えない。
｢お母様、お母様！｣
｢……｣
｢っ女王、陛下｣
何度名前を呼んでも聞こえていないように歩みを進めていたお母様は、にっこりと笑って｢どうしたの？｣と顔を傾けた。
この人の中で自分は誰の母親でもなく、ただ一人の女王なのだ。
ボロボロと壁や天井が崩れ落ちていく城内を進んで私の部屋につくと、砂埃の舞うベッドに座らせられてやっと身体が自由になる。もう寝なさい、と言って部屋を出ていこうとしたお母様をもう一度呼び止めると、貼り付けたような笑顔で振り返った。
｢……女王陛下……にとって、私ってなんですか｣
｢それはもちろん、可愛いアリスよ｣
｢……ありす｣
｢そうよ、可愛くて、完璧なアリス。貴方は何も間違わないの。鍵を取る前に小さくならない、自分の涙に溺れない、怪物にならない、森で迷わない、双子の話を無視しない、完璧なアリス。そうでしょう？｣
当たり前のことをどうして聞くの、と私を見つめるお母様の目が語っている。
そう、わたし、完璧なアリス
でもそれはお母様に嫌われたくなくて、怒られたくなくて、痛い思いをしたくなくて、つくった偽物のわたしで……。
｢じゃあ、お母様にとってAは、ッぐ｣
｢誰が、何？｣
疑問を問いかけた瞬間私の首を勢いよく掴んだお母様の手。じろりと見つめる目は赤く血走り、そして何も映していない。
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あ(プロフ) - 早桃さん» ありがとうございます〜！最後までお付き合い頂きありがとうございました；； (2022年10月19日 10時) (
レス) id: fb59469920 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 完結おめでとうございます！！めちゃ面白かったですー！！！お疲れ様でした😊 (2022年10月18日 20時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます！最後までお付き合い頂きありがとうございました！！ (2022年10月17日 2時) (レス) id: e349160874 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 最高すぎる終わり方でしたお疲れさまでした (2022年10月16日 9時) (レス) @page25 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 桜葉さん» ひええありがとうございます〜〜；；魅力的だなんて……！！ (2022年10月13日 18時) (レス) id: 7957da95fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2022年10月10日 3時
