刀剣男士は審神者が嫌いである。【刀剣乱舞】

12. ページ13

「よいっしょ」

ぼすんっとほこりにまみれた倉の畳の部屋に布団を置いた。
けほけほと咳をして2人と1匹で倉から飛び出る。

「あーほこりっぽい」
「えふっえふっ」
「大丈夫？」
「は、はい！」

元気に返事をした少年。可愛いなこんちくしょう。

「君名前は？」
「五虎退、五虎退ですッ」
「五虎退君、格好いい名前だね。よろしくね」
「〜っはい！」


嬉しそうに差し出された手を握り返し、五虎退君は笑った。
ああ可愛い、ぎゃんかわとはこれいかに。

「糸町様、倉は、やはり・・」
「・・ここしかいられそうな場所ないし、掃除すれば何とかなる！」

掃除道具どこだべ。きょろきょろと掃除道具を探す。
「掃除道具なら屋敷の中です」とこんのすけ君が教えてくれた。

「・・・入るなって言われたし、買いに行くか」
「案内します！」
「ありがとう、じゃあ行こうか」

邪魔な物を置いて2人で外に買い物へ向かった。






・







「五虎退・・・・！！羨ましいヤツめ・・・！！」


糸町の味方に付いた五虎退を見ながら、全刀がぎりぎりと歯ぎしりをした。
手を繋いで買い物に行ったのを見て吐血した者もいた。もう片想いは末期である。

「・・いい加減認めたらどうです？」

ため息をついてこんのすけが刀剣達の前に姿を現す。

「彼女は水町様の後任に最も相応しい方ですよ？霊力はなくとも彼女は賢い。戦術なら一週間で覚えるでしょう」
「・・主は彼女が審神者になるのを望んでいなかったんだぞ？」
「しかしだからといって殺せはしない。なぜなら彼女を好いているから。愚かとしか言いようがありませんね」

チャキッと誰かが抜刀しようとする。
しかしこんのすけは話を続けた。

「忠告しておきましょう。これ以上脅しても彼女は出て行きませんよ。彼女は買われたのですから」
「・・買われた？」
「はい、1億という大金で」

ざわっと衝撃が走る。
全刀驚きを隠せていなかった。

「三日月様、聞いていたでしょう？もう帰れないと。仰っていたではありませんか」
「だからといって・・」
「彼女を買い取った金額は政府からすればただの端金に過ぎない。彼女はこの本丸のために買われ、一生を縛られることになったのです。お分かりですか？」
「・・なぜ刀解しないんだ？教えてくれ」
「それを水町様が望まなかったからです」

水町、太一は死に際こんのすけに『あいつらを頼んだ』と言って死んでいったそうだ。

13.→←11.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す