愛って何？《JIN》 (ページ2)

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今でもよく思い出す。あの日の夜を。

「ただいま～」

「…………ヌナ？」

いつも僕が帰ってくれば小動物の様に玄関まで小走りでくれば［お帰り！］と言ってくれる。
でもその日は違った。

「ヌナ居ないの？」

もう寝てしまったのかもしれない、そんな容易な考えを抱きながら寝室のドアを開ければ、僕達のベッドで、僕じゃない男と愛し合っていた。

［っ、ジンくん…！］

「なん、で…？」

［違うのジンくん…！これはっ、］

「…………もういいよヌナ。おしまいにしよう。」

偶に思うんだ。あんなにヌナに溺れていたのに簡単に別れを告げれたのは何でだろう、って。僕は全部全部ヌナが初めてで、これからもヌナだけ。ヌナも僕と同じだと思ってた。でも違った。
だからか…？今ではショックが大き過ぎてなのかな～なんて呑気に考えれるようになった。このたった3ヶ月で。それは明らかに僕を助けてくれたAのお陰で、Aが居たからヌナの事を考えなくて済んだ。

Aは僕に帰る家をくれた。居場所をくれた。

『これからはここが貴方の家です。どれだけ時間がかかっても良いので、ただいまって言えるようになって下さい！』

なんて。今では有難くて仕方ない事だ。

でも最初の頃は最愛の人に裏切られ、捨てられたも同然の僕にとってはAの事も信じられなかった。

どうせ急に出て行けと言うんだろう。まぁそこまでこの家に居ようと思わないけど。女なんて所詮そう言う生き物なんだろう。そう勝手に思っていた。

だから僕のAへの態度は第三者が見れば驚く程冷たく、赤の他人だった。

この時から僕は‘’愛‘’が分からなくなった。