たったひとりの ページ28
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「……うれしかってんな」
すばるくんは言う。
すこし恥ずかしそうに俯きながらも、きちんと芯のある声で。
「おれ、しょうたのこと探してくれてるヤツなんてもうおらんと思っとったから。
おかんもおとんもまだ諦めきれてないし……
アイツほんまえげつないくらいの親不孝モノやけど、でも、おれにとっては命の恩人やしそれに」
「たったひとりの……大切な、アニキ、やし」
彼は顔を上げ、まっすぐにわたしを見る。
「やからおまえとおーくらが家に来た時、すなおにうれしかった。
もう居なくなって何年も経つのに、アニキのこと大切に想ってくれてるヤツらがおったんやなあって。
しかもそれが、アニキがよう病室で話してくれたふたりやったから。
ちょっと意地悪、してもうてん。
ほんまにアニキのこと探し出すんやろかって、こいつらにそこまでする想いはあるんやろか、て……試してもうた。
しょうたが居なくなったときのおまえらとのイザコザは知ってたし。
まあ……このノートの切れ端見ても聞いてた話からしても、しょうたがおまえらのこと恨んでるなんて１ミリも思ったことなかったけど。
…………言うとくけどあいつ、まじでおまえにベタ惚れやったからな？」
なんて。
いつも仏頂面だと思っていたすばるくんは、ほんとうはこんなにコロコロと表情をよく変えて、こんなにたくさんしゃべる子なんだと。
うれしくなった。
章大、あなたの弟は。
あたりまえに笑える子になったんだね。
脳裏をよぎるのは、あの頃見た、たくさんの管と機械に囲まれた幼い男の子の姿。
「…………すばるくんは」
「？」
「すばるくんは、章大が救ってくれたことも知ってるんだね？」
―おれにとっては命の恩人やし―
「……まあな」
彼はふっと口角を上げて笑う。
とても中学生とは思えない大人びた表情で、うたうように口を開く。
「
その瞬間、コンコン、と軽い音が響いて、病室の入り口から見知らぬ先生が顔を出した。
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タルヒ(プロフ) - ショウタくん生きてて良かったです。兄弟って似るんですね。すばるくんも章ちゃんも好きにさせちゃう女の子ってどんな子なんでしょう笑 (2019年3月17日 13時) (
レス) id: d9b43e6eea (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - 多恵子さん» 多恵子さん！お付き合いいただきありがとうございました^ ^章大くんとすばるくんの仲良し兄弟、わたしもとっても大好きです。そう言っていただけるような作品が書けて本当に良かったと思います(TT)ありがとうございました！ (2018年8月30日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - めちゃさん» めちゃさん！お付き合いいただきありがとうございました^ ^もったいないお言葉…うれしいです。書いてよかったと心から思います(TT)次はもっと楽しんでいただける作品が書けるよう頑張りますね！ (2018年8月30日 23時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
多恵子(プロフ) - 完結お疲れさまです。章大くんが弟思いで死んじゃうところで思わず涙が出てしまいました、…こんな素敵なお話をありがとうございます。最後の、すばるくんの後五年まっとけ、は章大くんと似てるのか似てないのか。全てのキャラが素敵でした。ほんとに楽しかったです！ (2018年8月29日 8時) (レス) id: 2178e0ef46 (このIDを非表示/違反報告)
めちゃ(プロフ) - 完結お疲れ様でした。なかなか難しいお話でしたが引き込まれていました。行った事のないはずの景色が見えるようで登場人物がどれも素敵で。それからいつの頃からか私の頭の中にまで「ノスタルジア」が鳴ってました。また次作楽しみにしています。 (2018年8月28日 22時) (レス) id: 994f71b8c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年4月1日 18時
